再エネ・技術

再エネ・再点検(中)陸上風力、撤退の連鎖 資材高や地元住民の反発響く - 日本経済新聞

日本経済新聞 2026-04-29
資材高や地元住民の反発を背景に、陸上風力発電からの撤退が相次いでいる状況を報じる記事。

専門家の視点

陸上風力の撤退連鎖は、物語先走りの構造です。国が掲げる再エネ主力電源化という壮大なビジョンに対し、資材高騰や住民合意形成という実体が追いついていない現実が、撤退という形で表面化しています。ここでの本質は、FIT制度が生んだ「作れば買い取ってもらえる」という前提が、地元との長期対話や送電網整備といった実行レイヤーを軽視したまま制度化された点にあります。 記事が当然としている「住民反発はコスト」という前提は、別の見方をすれば、合意形成を後回しにしたツケとも言えます。時間軸で見れば、住民説明や環境アセスメントは事業期間の長期化要因ですが、これを回避すれば後の訴訟リスクが残ります。次の観測点は、事業者の撤退判断と、地域住民への情報開示の内容です。撤退は損失の確定ではなく、実体と物語を再度調整する機会でもあります。日本企業には、事業の経済性と地域社会の受容性を同時に設計する視点が欠けており、これが最大の構造的課題です。資材高は循環的要因ですが、合意形成は制度的要因であり、後者にこそ政策の修正余地があります。

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