制度・政策

【社説】脱炭素社会へ 排出量取引の有効活用を - 西日本新聞me

西日本新聞me 2026-05-03
社説が、脱炭素社会実現に向けて排出量取引制度の有効活用を提言している。実務に関わる制度の方向性が示されている。

専門家の視点

排出量取引の有効活用という論点は、日本のGX政策における「制度は作ったが市場が育っていない」典型的な構造を示します。排出量取引は価格シグナルが機能して初めて投資判断を変える手段ですが、日本では試行段階の自主参加型が中心であり、実体としての取引量と価格発見機能は欧州の炭素市場と比べて未成熟です。物語では脱炭素社会への道筋が語られますが、誰がどの排出量をいつまでに削減するのかという実行レイヤーの具体性が欠落しています。企業にとって排出量取引はコスト負担の側面が強調されがちで、技術投資の収益性を高める装置として翻訳されていません。ここで問い直したいのは、排出量取引の価格が上昇しない限り、企業の行動変容は起きないという前提です。実際には、取引価格が低いままだからこそ、省エネや再エネ導入の経済合理性を高められる余地が残されているという別の見方も可能です。観測点は制度設計が義務化へ移行する際の経過措置であり、時間軸で見れば価格が上がる前に技術開発を終える企業が競争優位に立つと断言できます。排出量取引は脱炭素の手段であって目的ではない点を、政策担当者も企業も再確認すべき構造です。

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