企業動向

「不採算なら発電止める」 読まれた記事〜企業戦略編 - 日本経済新聞

日本経済新聞 2026-05-02
不採算の場合に発電を止めるという企業の事業判断についての記事

専門家の視点

発電所の不採算撤退は、電力会社だけの話ではなく、再エネ発電事業者全般に突きつけられた現実です。市場連動型の売電契約や容量市場の本格稼働で、従来の「作れば売れる」構造が消え、需要と価格変動にさらされる時代に入りました。ここにはズレがあります。企業は収益性を盾に撤退を決めますが、系統安定化という公益的役割はその判断の外に置かれています。不採算なら止めるという意思決定は合理的である一方、地域送配電網の維持やピーク時供給力の確保という実体が、物語として語られていないのです。時間軸で見れば、足元の収支改善は即効性がありますが、廃止した発電所の再稼働はほぼ不可能です。可逆性のない選択として重く見る必要があります。隠れた前提は「市場価格が適正であれば発電所は回る」という考え方です。しかし、再エネ大量導入期の価格シグナルは過渡的で、長期の投資回収を促す設計にはまだ成熟していません。次の観測点は、この撤退判断が電力需給逼迫期の系統運用にどう影響するかです。停止と維持の線引きを、企業単独の収支判断に委ねる構造そのものが、今後の電力システム設計の論点になります。

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