【寄稿記事】成長・イノベーション・人材育成を牽引する日馬パートナーシップ 在マレーシア日本 ...
マレーシアの水力資源を活用した水素・CCUS拠点開発など、成長とイノベーションを牽引する日馬パートナーシップの取り組みを紹介。
専門家の視点
GXの実体は、マレーシアが日本のLNG供給の15%を担う既存のエネルギー基盤と、サラワク州の豊富な水力という物理的制約の上にあります。物語は、この資源を水素やアンモニア、CCUSの国際拠点へ発展させるという将来ビジョンです。しかし、この両者の間には大きなズレがあります。具体的な実証プロジェクトのスケジュールや投資額、需要先の確保といった実体がほとんど示されていないからです。物語先走りの構造です。さらに、「誰が実行するのか」という実行レイヤーも不明瞭です。官民連携の枠組みだけでは、技術実証と商業化を担う人材と資本の投入計画が欠落します。隠れた前提は「サラワクの電力がクリーンであり続ける」ことですが、水力は気候変動による乾季の影響を受けます。安定供給の前提は脆弱です。次の観測点は、日馬間で交わされた覚書が具体的なFSや商業契約へと昇華するかです。その段階で初めて、この物語は実体に追いつくのです。日本企業とGX人材への示唆は明確です。水素・アンモニアの国際サプライチェーン構想は、供給源の物理的制約と需要家のコスト負担という二つの事実を同時に満たせた時のみ成立します。