再エネ「最も競争力ある」 | さんにちEye 山梨日日新聞デジタル
G20やCOP30で、脱炭素化や再エネ3倍目標に関する国際的な議論の進展・停滞を伝える記事。
専門家の視点
脱炭素関連の国際交渉では、実体としての技術進展と物語としての合意形成が明確にズレています。G20では「脱炭素化の推進」に関する共同声明が見送られ、意見集約に失敗しました。一方でCOP30では「脱化石燃料」「再エネ3倍」という決定文書案が提示されています。この差は、物語先走りの構造に他なりません。国際社会は壮大なビジョンを掲げる一方で、具体的な実施手段や費用負担、途上国支援といった実体が追いついていないのです。特に、洋上風力発電の拡大は技術的には成熟しているものの、送電網整備や許認可プロセスといった制度面がボトルネックになっています。隠れた前提は「再エネが最も競争力を持つ」という認識です。これは発電コストだけを見た場合の話であり、系統安定化費用やバックアップ電源のコストを含めれば、前提は崩れます。次の観測点は、決定文書案が採択された後の各国の実施計画です。表明された目標と実際の政策実行の間にどれだけの隔たりがあるかで、この構造の真価が測れます。現時点での構造は、物語と実体の非対称性が固定化しつつある状態です。