[社説]石油調達見直し経済安保を確かに
脱炭素と経済安全保障の観点から石油調達の見直しや合成燃料開発の重要性を論じた社説
専門家の視点
石油調達の見直しと合成燃料開発を同一の枠組みで語る構造に、実体と物語のズレが潜んでいます。合成燃料は現状、大量の電力を必要とし、CO2回収コストも未だ高く、実用化には二酸化炭素回収技術や再エネ余剰電力の安定供給という物理的制約が立ちはだかります。一方、「パワー・アジア」はエネルギー安全保障と脱炭素を同時達成する物語として提示されていますが、その実行レイヤー、つまり誰がどの予算で工場を建設し、発電コストを誰が負担するのかという工程表が欠落しています。この物語先走りの構造は、石油依存からの脱却という長期的目標と、短期的な安定調達という現実が両立しにくい点を隠蔽しています。次の観測点は、合成燃料の商用化に向けたパイロット規模の実証データと、政府が表明する補助金の金額規模が、現実の市場価格とどれだけ乖離しているかです。ここを注視しない限り、石油調達の見直しは理念に留まり、経済安全保障上の実効性を持ち得ないと判断します。