企業動向

北米の全電力を実質再エネ化 富士フイルム - 日本経済新聞

日本経済新聞 2026-05-02
富士フイルムが北米の全電力を実質再生可能エネルギーに転換する取り組みを開始した

専門家の視点

北米事業の全電力を実質再エネ化する富士フイルムの決定は、実体が伴った先行事例です。同社はすでに国内の再生可能エネルギー導入を進めており、今回の北米展開は、グローバル企業としてのサプライチェーン全体での脱炭素圧力に応える動きと解釈できます。 構造的な論点は、この「実質」という言葉の含意です。これは証書購入によるオフセットが中心で、新規の再エネ設備への直接投資や長期契約ではありません。つまり、物理的な電力系統の脱炭素化を直接促進するわけではなく、市場の環境価値取引を活用した対応です。技術や制度の実体は動きつつも、その効果の検証方法が曖昧なまま、企業の環境主張が先行する構図です。 隠れた前提は、企業が再エネ化を宣言すれば、それだけで投資家や消費者からの期待に応えられるという発想です。実際には、発電源の帰属や追加性の証明といった執行面が追いついておらず、第三者認証の信頼性が今後問われます。この動きは他社へ波及する可能性が高く、次の観測点は、同社が証書購入を超えて、物理的な再エネ調達契約にいつ踏み出すかです。それまで、この宣言は期待先行の側面を強く残します。

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