三菱商事社長が記者に逆質問「洋上風力をどう理解している?」撤退から悟ったエネルギー政策に ...
三菱商事社長が洋上風力撤退から得た教訓を基に日本のエネルギー政策とカーボンニュートラル実現への課題を問う記事。
専門家の視点
洋上風力事業からの撤退判断は、三菱商事にとって経済合理性に基づく実体の選択です。高圧電線の整備や港湾設備といった送電網・系統側のインフラ整備が、発電事業の建設スピードに追いついていない現実があります。これは「導入は進むが執行・インフラが追いつかない」制度の非対称性です。 社長の逆質問は、物語と実体の乖離を鋭く突いています。政策側はカーボンニュートラルという長期ビジョンを掲げますが、洋上風力の普及に必要な系統増強や海域利用のルール整備という実体部分の設計が不明瞭なままでした。物語先走りの構造です。 ただし、ここで隠れた前提を問い直します。洋上風力の停滞を日本の制度の問題だけに帰することは早計です。国際比較では、着床式から浮体式への技術転換期にあり、国内メーカーの競争力低下という産業政策の失敗も同時に存在します。 期待レイヤーでは、投資家は事業リスクを織り込み、撤退判断を冷静に受け止めています。次に見るべき観測点は、政府が系統整备の予見可能性を高める制度改革を実際に施行するかです。三菱商事の撤退は、日本のGX政策が実体を伴わない限り、民間資本は冷静に距離を置くというシグナルです。