再エネ・技術

再エネ・再点検(中)陸上風力、撤退の連鎖 資材高や地元住民の反発響く - 日本経済新聞

日本経済新聞 2026-04-28
陸上風力発電で資材高や住民反発を理由に事業撤退が相次いでいる現状を報じる記事

専門家の視点

陸上風力の撤退連鎖は、物語先走りの典型です。国が掲げる再エネ主力電源化という壮大な物語に対し、資材高騰や地元調整の長期化という物理的・社会的な実体が追いついていない構造が透けます。導入目標の数字ばかりが先行し、事業者が採算を取れるまでの実行レイヤー、つまり用地確保や系統接続の手続きを支える人材と制度が欠落したままです。政策の時間軸も、風力発電が実際に稼働するまでの十年単位の長さを無視して、短期的な成果を求める圧力と噛み合っていません。ここで隠れた前提を問い直します。地元住民の反発をコスト要因としてだけ扱う見方では、合意形成の失敗がなぜ繰り返されるのかが見えません。反発は手続きの非対称性、つまり事業者の説明責任と住民の情報アクセス権のズレが生む構造的な摩擦です。次の観測点は、政府がこの非対称性を解消する具体的な制度変更を示すかどうかです。数値目標の引き下げではなく、手続きの時間を短縮できる執行体制への投資があるかないかで、撤退連鎖は止まるかどうかが決まります。実体と物語の間に橋を架けるのは、より丁寧な合意形成を支える制度設計だというのが結論です。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る