AIのコストは誰が負担すべきか: データセンター急増で電力価格高騰も
専門家の視点
AIの電力消費は2025年の約485TWhから2030年に約950TWhへ倍増する見通しです。半導体性能ではなく電力と送電網の確保が競争軸になるという指摘は、実体面の制約を正しく突いています。一方、記事で確定できる数値はIEA推計とグーグルの投額のみで、価格転嫁の経路や負担配分の設計は示されていません。米テキサスで卸売価格が高騰しても家庭に転嫁されていない事例が挙げられている点は重要です。負担の主体が「誰か」と問いながら、実行レイヤーである料金制度、系統接続の順番、立地地域の同意形成が空白のままです。再エネ調達の連携が進む国内の動きと併せれば、電源確保と価格負担は別々の論点として設計される必要があります。次の観測点は、データセンター立地に伴う系統接続枠と料金負担の配分を誰が決めるかです。
生成AIが急速に社会の基盤になり、世界のデータセンターの電力消費量は2025年から2030年にかけてほぼ倍増する見込みだ。一方、データセンターの建設には、水、騒音、土地利用などへの懸念も広がる。電力価格の高騰につながる可能性もある中、AIの「社会的コスト」は誰が負担するべきか。(オルタナ総研所長=町井則雄) 私たちの生活の中に生成AIが入り込み、急速に社会の基盤になりつつある。しかし「クラウド」という言葉のせいか、私たちはデジタルをどこか実体のないものとして捉えがちだ。 実際には、AIの背後には巨大なデータセンターがあり、半導体があり、大量の電力が必要だ。IEAによれば、世界のデータセンターの電力消費は2025年の約485TWhから2030年には約950TWhへ、ほぼ倍増する見通しだ。 AIの進化というと、これまではGPUなど半導体の性能競争に目が向きがちだった。しかし、どれほど高性能な半導体があっても、それを何万台も同時に動かす電力と送電網がなければAIは動かない。 IEAも、AIの急拡大を支える電力、系統接続、半導体、設備、資本を巡る「争奪」が始まっていると指摘する。AI競争は、半導体の性能だけでなく「どれだけ電力を確保できるか」を競う段階へ入りつつあるのだ。 ■米グーグルはデータセンターに2兆円超投じる■増える日本の電力需要、原発をどう扱うべきか■米テキサスでは卸売価格が高騰するも一般家庭に転嫁せず■AIを古い開発モデルで受け入れてはいけない 株式会社シンカ 代表取締役社長/一般財団法人 22世紀に残すもの 理事長/ 株式会社オルタナ オルタナ総研所長/岩手町政策アドバイザー など 1993年日本財団に入会。「日本財団図書館」・「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」の企画・開発を行うと共に、企業のCSRの取り組みを可視化するデータベース「CANPAN CSRプラス」の企画・開発に携わる。「世界を変えるデザイン展」、「未来を変えるデザイン展」の企画・総合プロデューサー。日本財団を2016年9月に退職、企業の社会課題解決型ビジネス創出のサポートやCSR支援を行うため株式会社sinKA(シンカ)を立ち上げ、現在に至る。経産省 地域新成長産業創出促進事業審査委員、内閣府「新しい公共推進会議」情報開示・発信基盤に関するワーキング・グループ委員、G4マルチステークホルダー委員会委員、CSR検定委員会 委員等を歴任。著書(共著) 「CSR検定テキスト」 、「企業と震災(木楽舎刊)」 など。
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