オランダ政府、2027年予算案を発表、イノベーション・企業投資を重点支援
専門家の視点
オランダ政府が2027年予算案で示したのは、投資・改革・国際協力の3本柱のうち、実体として確認できるのは予算配分と税制措置です。国家投資機関に33億ユーロ、破壊的イノベーション機関に5億ユーロ、研究・イノベーションへ年間4億2,800万ユーロを追加する一方、研究開発税額控除は2026年18億1,700万から2027年19億5,900万へ増え、エネルギー投資控除の控除率も40%から45.5%へ上がります。ここで見える構造は、脱炭素投資を税制と補助金の価格シグナルで押し出す一方、労働不能基金の保険料率を0.4ポイント引き上げ、企業負担も同時に増やしている点です。系統混雑や許認可を投資のボトルネックと名指ししたこと自体は実行レイヤーへの言及ですが、電力網増強の具体的な時期・量・実施主体は今回の予算案では確認できません。投資と負担が併走する設計は、企業にとって正味の誘因がどこで決まるかを左右します。次の観測点は、これらの予算措置が実際の系統接続や脱炭素設備投資の着工件数に結び付くかです。
このページではjavascriptを使用しています。 オランダ政府は9月15日、2027年度(暦年)の予算案を発表した。政府は、経済成長を今後の国家的課題と位置付け、「投資」「改革」「国際協力」を3本柱に掲げた。民間投資を促すため、電力網の系統混雑、規制負担、許認可などのボトルネック解消にも取り組むとしている。 政府は、革新的な企業や成長企業への資金供給を強化するため、国家投資機関(NII)に33億ユーロ、国家破壊的イノベーション機関(NADI)に5億ユーロを充てるほか、国家成長基金の新たな公募に3億7,500万ユーロ、人工知能(AI)分野の欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)への企業参加支援に1億2,000万ユーロを計上する。研究・イノベーションには年間4億2,800万ユーロを追加投資する。 また、企業の研究開発を税制面で支援する研究開発税額控除(WBSO)の2027年の支出規模は19億5,900万ユーロと、2026年の18億1,700万ユーロから増加する。加えて、研究開発から生じた利益に税制優遇を適用するイノベーション・ボックスでは、中小企業向け定額方式の上限を2万5,000ユーロから10万ユーロへ引き上げる。 一方、法人税率は2027年も課税所得20万ユーロ以下に19%、20万ユーロ超の部分に25.8%を適用し、据え置く。政府はWBSOやイノベーション・ボックスなどを通じ、安定的で予見可能な税制環境を維持する方針だ。 政府は、企業の脱炭素投資やエネルギーコストへの支援も強化する。企業の省エネ・脱炭素設備への投資を促すエネルギー投資控除(EIA)については、控除率を2026年の40%から2027年は45.5%に引き上げる。また、エネルギー集約型産業の競争力確保に向け、EU排出量取引制度(EU-ETS)に伴う電力価格上昇の影響を受ける企業への間接コスト補償制度(IKC-ETS)に5億7,400万ユーロを充てる。政府は、電力網の系統混雑についても企業投資や経済成長を妨げる重要な課題と位置付け、電力網の増強や既存網の効率的な利用に向けた対策を進める。 一方、企業が負担する労働不能基金(Aof)の保険料率は2027年に0.4ポイント引き上げられ、小規模雇用主で6.67%、大規模雇用主で8.03%となる。今回の予算案では、投資・イノベーション支援などを通じて民間投資を促す事業環境の整備を進める一方、一部保険料率引き上げなど企業負担の増加を伴うものとなっている。 ビジネス短信 ec55c860fd493656 メンバーズ・サービスデスク(会員サービス班) E-mail:jmember@jetro.go.jp
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