企業動向

【金融機関のためのJ-クレジット実践コラム:第4回】「うちは関係ない」という中小企業の社長に ...

2026-09-07
中小企業がJ-クレジットを活用してカーボンニュートラルに取り組む重要性と、若手人材の環境意識が採用に影響する点を解説するコラム。

専門家の視点

J-クレジットの提案が「大企業向け」と拒絶される場面で、経営課題に直結する実利として再構成する提案手法の記事です。採用・取引先・入札という3つの経営リスクにJ-クレジット購入を位置づけ、備福通信の事例で裏付けています。確認できる事実は、同社が採用競争の厳しさから環境経営を選択したこと、転職入社の社員が環境姿勢を決め手と語ったこと、大手取引先の役員が見学に訪れたことです。ただし、Jクレジット購入が採用数や売上、入札加点に具体的にどの程度寄与したかの数値データは記事にありません。物語は「先回りすれば後手を踏まない」という時間軸の優位性を強調しますが、削減要請の具体的時期や規模、購入コスト対効果の検証基準は省略されているのが構造的な特徴です。期待の層では、中小企業経営者本人よりも、就活生の環境意識や大手企業のScope3要請という外部圧力を媒介に説得する構図になっています。つまり、環境価値そのものではなく、取引継続と人材確保という既存の経営動機に接続することで提案を成立させており、実利の文脈が環境目的を上書きする形です。

前回は、J-クレジットを一言で言い切る「回答の型」をお伝えしました。今回は、その先の実践編です。いざお客さま——とりわけ中小企業の経営者——にJ-クレジットを提案するとき、どの切り口で話せば「自分ごと」として響くのか。実際の企業事例を交えながらお伝えします。 前回コラムはこちら【金融機関のためのJ-クレジット実践コラム:第3回】そもそも「J-クレジット」とは何か?"怪しい"を一瞬で払拭する一言回答~ひと言で納得させる「決定打」を用意する~ 「社長、J-クレジットを活用してCO₂を削減しませんか……」 ここまで言った瞬間に、「うちは中小企業だから、そういう大企業向けの話は関係ないよ」と言われた経験はありませんか? 中小企業の経営者が日々直面し、本当に関心を持っているのは「売上」「人材採用」「取引先との関係維持」「現場の安全」など、事業に直結するリアルな課題です。だからこそ、J-クレジットを提案する際は、「地球環境のため」という文脈だけでなく、経営課題を解決する「実利」の文脈で話すことが極めて重要になります。 今回は、中小企業に響く「3つの切り口」を、岡山県で通信インフラ工事を手がける 株式会社備福通信さまのリアルな導入事例を交えながら解説します。 今の就活生や若手人材は、就職先のSDGsや環境への取り組みを私たちが想像する以上に真剣に見ています。J-クレジットを活用してカーボンニュートラルに取り組んでいる事実は、採用媒体や自社Webサイトにおいて強力なアピールポイントになります。 「社長、最近の学生は企業の環境姿勢を本当によく見ているんです。御社がJ-クレジットを購入して『地元の森を守っています』と発信するだけでも、応募してくる学生の質や見られ方が確実に変わってきます。比較的少ない投資で、採用面の効果が期待できる『人事戦略』の一つなんですよ。」 この「採用効果」が絵に描いた餅ではないことを証明しているのが、まさに備福通信さまです。 同社の河原社長は、厳しい採用競争のなかで環境経営に舵を切りました。 「地元の工業高校では、卒業生40名ほどの学科に全国から1,200社もの求人が集まります。そのなかで選んでもらうには、環境対応や働きやすい職場づくりを本気で発信しなければ、そもそも見向きもされません」(河原社長) 実際、3年前に転職で入社された社員の方は、「環境経営に真剣に取り組んでいる会社なら、体制も整っていて安心して働けると感じました。オフィスもきれいで、『環境や人を大切にする会社なんだ』と実感できたことが決め手になりました」と語っています。 環境への取り組みが、そのまま人材を惹きつける力になっているのです。 大企業の脱炭素化は、いまや自社の排出(Scope1・2)にとどまらず、取引先を含むサプライチェーン全体(Scope3)へと広がっています。 これは中小企業にとって、「いつか必ず自社にも削減要請が来る」という現実的なビジネスリスクです。要請を受けてから慌てて対応するのでは遅く、先回りして準備しておくことが、大手取引先から選ばれ続けるための防衛策になります。 「御社のお取引先には、大手や上場企業も多いですよね。そうした企業はいま、下請けや協力会社にもCO₂削減の協力を求め始めています。要請が来てから動くと後手に回りますが、今のうちにクレジット等で備えておけば、『すでに対応済みの優良な協力会社』として、他社に一歩先んじることができますよ。」 同社が環境経営を加速させた最大の推進力も、まさにこの「先回り」でした。プライム上場企業をはじめとする大手取引先が多い同社。河原社長の胸中にあったのは、危機感でした。 「直接の強制はなくとも、取引先がこれだけ本気で取り組んでいる以上、いずれ必ず協力会社にも対応が求められる。要求されてからでは遅すぎる」 結果として、大手取引先の役員や社長が自ら見学に訪れ、「中小企業でもこれほど先進的にやっているのか」と高く評価されるようになったといいます。 国や自治体の入札・プロポーザルでは、環境への取り組みが「加点評価」される案件が急増しています。建設業・製造業・サービス業など、公共調達の受注を目指す企業にとって、カーボンニュートラルへの取り組み実績は競争力に直結します。 「最近、入札の要件で環境項目が加点される案件が増えていますよね。ISO認証をゼロから取るとなると時間もコストも膨大ですが、J-クレジットの活用なら、比較的短期間で確実な『取り組み実績』をつくれます。受注機会を1つも逃さないための備えとして、検討する価値は十分にありますよ。」 3つの実利(採用・取引先・入札)に加えて、特に「森林由来のJ-クレジット」には、経営者の心を動かすもう一つの力があります。それが「地域貢献」という大義名分です。 地元の森林

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