【オーストラリア】政府、公契約でネイチャーポジティブ義務化。国家環境基準制定
オーストラリア政府はEPBC法改正の一環として、オーストラリア初となる国家環境基準を制定し、公契約でネイチャーポジティブを義務化する。
専門家の視点
連邦政府が公契約を通じてネイチャーポジティブを義務化する国家環境基準を制定したことは、環境保護を「任意の取り組み」から「市場参加の条件」へと転換する構造的な変化です。ポイントは、新設される国家環境保護庁が意思決定の主体となる点です。つまり、基準の実効性は、この機関が持つ執行権限の強さと、公契約のどの段階で義務を課すのかという運用詳細に依存します。制度の導入と執行の間には常に時間差が生じますが、今回の発表では、企業が具体的な測定方法や報告義務をどのように遵守するかという実行レイヤーが確認できません。また、環境基準の遵守がコスト増加につながる事業者と、長期的な生態系保全による便益を受け取る市民の間で、負担と受益の非対称性が生まれる可能性があります。今後の観測点は、国家環境保護庁の実証的な執行事例と、公契約の入札要件に具体的な生物多様性指標がどう組み込まれるかです。物語は整備されましたが、実体はこれからの執行設計で決まる構造です。