ESG・金融

オーストラリア、気候関連財務開示の負担軽減策を協議 合理的保証の延期・Scope 3情報要求の明確化など提示

2026-08-30
オーストラリア財務省が気候関連財務開示制度の効率化に向け、合理的保証の延期やScope 3情報要求の明確化などの改革案について意見募集を開始した。

専門家の視点

オーストラリア財務省が提示した改革案は、気候開示制度の本質ではなく負担軽減を前面に出した選択肢提示です。合理的保証への移行を2035年まで延期する案や限定的保証の継続案は、開示の品質と国際比較可能性という当初目的との間に緊張関係を生みます。保証水準を下げるほど情報の信頼性は低下し、国際的な比較可能性も損なわれるためです。もう一つの論点はバリューチェーン情報の範囲明確化です。中小企業への過度なデータ要求を抑えつつ、Scope 3情報の品質をどう保つかは両立が難しい課題で、二次データ利用の拡大は測定精度を下げるリスクを伴います。改革案はまだ意見募集段階であり、2026-27年度の報告には影響しない一方、実施時期は明示されていません。制度変更の過程で、企業の実務負担と投資家が求める情報の質のバランスをどう取るかが最大の観測点です。保証水準の選択肢のうち、どの案が採用されても、開示制度の信頼性を維持するには実行段階での明確な基準と測定方法の整備が不可欠です。今回の協議は制度の枠組みを再設計する入り口であり、最終的な決定内容と導入時期の明示が次の確認ポイントです。

8月24日、オーストラリア財務省は、気候関連財務開示制度の効率化に向けた改革案について意見募集を開始したと発表した。企業のコンプライアンスコストを削減しつつ、開示の品質や一貫性、国際的な比較可能性を維持することを目的とする。意見募集は10月2日まで。 改革案の柱は、保証要件の見直し、既存の開示要求の適用に関する明確化、バリューチェーンへの情報要求の範囲明確化の3点である。保証については、2030年までに限定的保証から合理的保証へ移行する現行制度に対し、①限定的保証を継続する、②合理的保証への移行を2035年まで延期する、③Scope 1・2など成熟した指標のみ合理的保証を求める二段階モデル、の選択肢を提示した。 また、AASB S2における「過大なコストや労力をかけずに利用可能な、合理的で裏付け可能な情報」などの考え方について、追加ガイダンスを検討する。Scope 3排出量を含むバリューチェーン情報についても、中小企業への過度なデータ要求を抑えるため、合理的な情報要求の範囲を明確化するとともに、国内の排出係数など二次データの利用可能性を高める案を示した。 今回示された改革案は政府承認済みの政策ではなく、意見募集のための選択肢である。検討中の変更は2026-27年度の報告には影響せず、導入する場合も報告企業への混乱を最小限に抑える方針だ。 原文:Improving the efficiency of climate-related financial disclosures ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国際的な動向からも気候変動への対応や開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍気候変動開示への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅制度ごとのScope3対応の共通項と相違点✅活動量データの整理例 ✅ISBTiネットゼロ基準V2.0の変更点の全体像✅V2.0のキーポイントの解説 ✅SSBJ基準と気候関連開示(TCFD)の違い✅準備段階ごとのポイント ✅それぞれの制度の概要を比較✅両制度の共通点と活用方法 ✅ISO14001における変更点の全体像✅対応ポイント「今からできる」4つの行動の解説 ✅SSBJ実務対応案で示されている方向性✅今から企業が準備できる開示準備のポイント

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