福島~福岡まで水素供給網を 大容量の水素輸送、来年度実証 郡山で地域準備会 | NEWSjp
専門家の視点
水素大動脈構想が、積載量を既存の4倍に増やす実証事業という具体的な形で前進します。この取り組みの核心は、技術実証と並行して、国内の規格や制度という社会的な制約を同時に解消できるかという点にあります。欧州で普及済みの技術であっても、国内の貨物コンテナ規格が異なるために普及していないという指摘は、技術そのものより制度と技術の適合が課題であることを示しています。 また、2024年問題による輸送能力不足への対応という目的は、水素供給網の構築が環境対策だけでなく、物流の効率化という現実的な経済合理性にも裏付けられていることを意味します。一方で、国が2017年に基本戦略を策定してから現在に至るまで、実証は進んでも事業化とコスト低減が課題として残り続けている事実があります。今回の実証は約600キロの輸送を検証しますが、福島から福岡までの幹線全体の整備時期や、850キロ積載時のコストが従来比でどれだけ低減するのかという経済性の指標はまだ示されていません。次の観測点は、この実証事業が規格適合とコストデータを同時に取得し、大動脈構想の具体的な事業スケジュールへ接続されるかどうかです。
本県から福岡県までの幹線物流を水素燃料で賄う「水素大動脈構想」が本格的な一歩を踏み出す。本宮市の「本宮インターチェンジ水素ステーション(ST)」を運営する日本エア・リキード(東京都)は来年度、商用トラックでの水素運搬に関する高積載・低コスト輸送の実現へ実証事業を行う。既存の4倍の量を運搬できるトレーラーを導入し、大容量の水素輸送を検証、大動脈構想を前進させたい考えだ。 水素大動脈構想は、トヨタ自動車、岩谷産業など産業界でつくる「水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)」が掲げる水素サプライチェーン(供給網)の社会実装を推進させる取り組み。同協議会は水素の社会実装を官民連携で推進するため、2022年に設立され、約540社・団体で構成している。 本宮市での取り組みは、同協議会が28日に郡山市で開催した地域準備会で、日本エア・リキードが明らかにした。既存トレーラーの水素積載量は210キロだが、実証事業では約4倍の850キロを運ぶことができるトレーラーを導入。同STから愛知県半田市までの約600キロを輸送する計画だ。事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業に採択された。 同社によると、欧州では同規模での水素輸送が普及しているが、国内では水素を輸送するための貨物コンテナの規格などが異なるため普及していない。今後の需要拡大を見据えるほか、時間外労働の時間規制が行われた2024年問題といった輸送能力不足への対応として、大容量積載による輸送の効率化を目指す。 国は17年に世界に先駆けて水素基本戦略を策定。24年には水素社会推進法を制定し、昨年には水素モビリティの導入を促進するため本県を含む6都県を重点地域に選定し、水素社会の早期実現を目指していた。ただ、水素の実証事業は進むものの、事業化とコスト低減に課題があり、なかなか普及には至っていなかった。 同社の谷水賢史水素エネルギー事業部事業開発推進部マネジャーは「規格や制度などの課題をクリアし、実用化につなげたい」と話した。
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