制度・政策

SAF供給の義務量に指針 供給率は2030年度1%、2032年度以降は5%に

2026-08-12
政府は航空分野の脱炭素化に向け、SAF供給義務量の方針を示し、2030年度に1%、2032年度以降は5%へ引き上げる内容を発表した。

専門家の視点

SAF供給義務方針は、2030年度の国際線向け給油量上位7空港を起点に、供給率1%から段階的に引き上げる設計です。実行主体となる航空会社や燃料供給事業者への具体的な義務量配分と、未達時の対応が示されておらず、制度の骨格と執行手段の間に空白があります。 2032年度以降は5%へ引き上げられるものの、SAFの国内生産設備や輸入体制がどの時点で整うのか、その間に必要なインフラ投資とコスト負担の所在が明示されていません。調整期間が実質2年と短いことから、供給義務が形骸化するリスクがあります。 また、「航空分野の脱炭素化」という目的と、7空港限定という適用範囲の狭さが不整合です。国際線ハブに限定することで、国内線や地方空港からのSAF利用拡大が後回しにされ、全体の排出削減効果は限定的になります。 次の観測点は、義務量を空港単位で割り当てる際の基準公表です。供給率と実量の換算方法、および罰則を含む執行措置が示された時点で、この制度の実効性を判断できます。現時点では、方針の提示と実行体制の構築に時間差がある構造です。

航空分野の脱炭素化に向けて導入検討が進んでいるSAF(持続可能な航空燃料)について、政府が供給義務量の方針を示した。まずは国際線向け給油量上位の7空港を対象とし、SAF供給率は2030年度の1%から段階的に引上げる方針だ。 国際民間航空機関(ICAO)では、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする長期目標を採択しており、この実現に向けては「持続可能な航空燃料(SAF)」の利用が中心的な役割を果たすものと期待されている。ICAOのCORSIA(国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)において、日本等の先進国はすでに排出削減義務が課されており、2025年の第42回ICAO総会では、SAFやLCAF(低炭素化石燃料)等の利用により、2030年までにCO2排出量を5%削減することが求められている。 しかしながら、SAFの製造コストは現時点、従来のジェット燃料と比較して高額であるため、2025年時点の世界全体のSAF使用量は航空燃料消費量の0.6%程度に留まっている。 また、産業競争力強化やエネルギー安全保障の観点から、SAFの国産化も進められており、2030年の国産SAF大規模供給に向けては、遅くとも2026年内に最終投資決定(FID)することが必要とされている。 第9回「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」では、SAF導入促進に向けた規制的措置や、そのコストを航空利用者が負担する仕組みについて、検討が行われた。 これまで、電力やガス、ガソリンの非化石エネルギー化を促進するための規制的措置として、「エネルギー供給構造高度化法」(エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)が活用されてきた。 例えばガソリンについては、経済産業大臣はバイオエタノールの利用目標等に関する「判断基準」(告示)を策定し、特定石油精製業者(揮発油の製造・供給量が60万kL/年以上の石油元売5社)に対して、バイオエタノールを年間50万kL利用(供給)することを義務付けている。 このため、SAFについてもエネルギー供給構造高度化法に基づき、ジェット燃料供給事業者に対し、国内におけるジェット燃料の供給量に対して、一定割合のSAFの供給を義務付けることとした。 国際的なSAF利用目標との整合や、SAFの供給体制確保や社会的な理解醸成に一定の時間を要することを踏まえ、目標開始年度を2030年度として、事業者の予見可能性を確保する観点から、対象期間をバイオエタノール同様に5年間(2030~2034年度)として、年度ごとに供給義務量を設定することとした。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境

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