指標と目標|三菱UFJフィナンシャル・グループ
専門家の視点
三菱UFJフィナンシャル・グループの開示は、目標値と実績値が並置され、船舶セクターでは基準年と計測方法まで明記される点で、TCFD提言の枠組みに沿った誠実な構造です。しかし、その実態は「報告の精度」と「実体の速度」の間に大きな隔たりがあります。石炭火力向け与信残高は2030年度までに2019年度比50%削減を掲げますが、実績値は開示されておらず、進捗を検証できません。また、CO2削減貢献量は、従来の計測手法では2024年度単年で2,350万トンですが、国際基準に基づく試算では1,304万トンと約45%減少します。同じ活動が計測手法ひとつで半分近く評価が変わる。この数字の揺れは、脱炭素金融のインパクトが「物語」として語られる危険性を示しています。2030年度累計100兆円の投融資目標は総量ですが、削減貢献量は手法依存で、しかも基準年の2019年度から実績が目標の7,000万トンを既に超過したという点も、定義の変更がなければ整合性が問われる。次の観測点は、注記された「従来の計測手法」から国際基準への移行時期と、石炭火力向け残高の開示実績です。
気候変動に関するリスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、そのような情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する a.組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候変動に関するリスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示する b.Scope 1、Scope 2、および該当する場合はScope 3 の温室効果ガス排出量と、その関連リスクについて開示する c.組織が、気候変動に関するリスクと機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績について説明する ・TCFD 提言における開示推奨セクター別のFinanced Emission 計測 排出原単位(電力、不動産セクター、自動車、航空) 電力セクター:156-192gCO2e/kWh(2030年度目標) 石油ガスセクター:2019年比15%-28%減(2030年度目標) ・商業用不動産:44-47gCO2e/㎡(2030年度目標) ・住居用:23gCO2e/㎡(2030年度目標) 鉄鋼セクター:2019年比22%減(2030年度目標) 船舶セクター:PCA≦0%(2030年度目標) 自動車セクター:2021年比23%-46%減(2030年度目標) 航空セクター:71gCO2/RPK(2030年度目標) 石炭セクター:ゼロ(2030年度目標。非OECD諸国は2040年度) 電力セクター:339gCO2e/kWh(2019年度) 石油ガスセクター:92MtCO2e(2019年度) ・商業用不動産:65kgCO2e/㎡(2020年度) ・住居用不動産:27kgCO2e/㎡(2020年度) 鉄鋼セクター:22MtCO2e(2019年度) 船舶セクター:PCA 24.3%(Minimum)、PCA 28.9%(Striving)(2022年度) 自動車セクター:169gCO2/vkm (2021年度) 航空セクター:130gCO2/RPK (2021年度) 石炭セクター:約30億円(非OECD諸国は約120億円) 電力セクター:288gCO2e/kWh(2023年度) 石油ガスセクター:72MtCO2e(2023年度) ・商業用不動産:52kgCO2e/㎡(2023年度) ・住居用不動産:25kgCO2e/㎡(2023年度) 鉄鋼セクター:16MtCO2e(2023年度) 船舶セクター:PCA 17.0%(Minimum)、PCA 22.7%(Striving)(2023年度) 自動車セクター:158gCO2/vkm(2023年度) 航空セクター:83gCO2/RPK(2023年度) 石炭セクター:14億円(非OECD諸国は56億円)(2023年度) 2023年度:Scope1+2合計175千tCO2 2024年度:Scope1+2合計159千tCO2 (2022年度MUFGの国内連結子会社全社の自社契約電力の100%再エネ化を完了) 石炭火力発電所向けプロジェクトファイナンス〈貸出金残高〉 2030年度に2019年度比50%削減、2040 年度目途にゼロ(注) 石炭火力発電所向けコーポレートファイナンス〈与信残高〉 2022年4月、電力セクターのお客さまに対する与信のうち、石炭火力発電所向けコーポレートファイナンスの残高を2040年を目途にゼロにすることを目標として設定しています。 今後も石炭火力発電事業を営むお客さまとの脱炭素化に向けたエンゲージメントを通じて、グリーン、トランジション、イノベーションへの投融資を積極的に進めていきます。 2030年度累計100兆円(環境分野で50兆円) 再生可能エネルギープロジェクトファイナンスによるCO2削減貢献量(インパクト) 7,000万トン削減(2019年度から2030年度の累計) 7,041万トン削減(2019年度から2024年度の累計)(注) (注)従来の計測手法による実績であり、2024年度の単年実績は2,350万トン。前提条件・計測方法についての詳細はOPIM開示ステートメント 2026 ―インパクト投資のインパクトマネジメント原則― (PDF / 3.77MB)のP37をご参照ください。 一方、PCAFが「The Global GHG Accounting and Reporting Standard for the Financial Industry Part A – Financed Emissions 2nd Edition (2022)」で公表した計測手法オプション3「生産された化石燃料ミックス」に基づく2024年度の単年実績試算値は1,304万トン TCFDの提言を踏まえ、気候変動に関するリスクを定量的に把握するため、炭素関連資産について、与信残高(注1,2)の状況を開示しています。 202
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