〈エネルギー深論〉「GX戦略」W選定の香川県/橘川 武郎国際大学学長
政府がGX戦略地域に香川県を選定したことを報じ、コンビナート等再生型など選定類型と政策支援の集中方針に触れている。
専門家の視点
GX戦略地域の選定は、地域の産業構造を前提にした現実的な選択です。香川県が選定された理由は、既存の石油コンビナートを脱炭素型に転換するという産業再生の物語ですが、肝心の実行主体と資金スケジュールが記事からは見えません。経産省の「政策的支援を集中する」という方針は示されても、その支援が補助金なのか税制優遇なのか、期間は何年なのかという実行手段が不明瞭なままです。これは、計画の発表段階にある典型的な状態で、実体は「構想の提示」にとどまります。注目すべきは、選定が地域の既存資産の延命なのか、新規産業の誘致なのかという二つの物語が併存している点です。コンビナート再生型とデータセンター集積型では、必要となるインフラも人材も電力需給も全く異なります。次の観測点は、選定地域ごとの具体的な投資計画と、その資金負担を誰が担うかという実行レイヤーの明確化です。期待は地域経済への波及効果という形で先行していますが、効果が出るのは2030年代以降であり、それまでの間に技術開発の停滞や電力コストの変動で計画が撤回される可能性も残っています。
高市早苗内閣発足後の2025年12月に設置された地域未来戦略本部は、「戦略産業クラスター」の形成を目指しており、それと連動して経済産業省は、成長投資促進策と一体的にインフラ整備を進める「GX(グリーントランスフォーメーション)戦略地域」をいくつか選定し、そこに政策的支援を集中する方針をとっている。GX戦略地域には、(1)コンビナート等再生型(2)データセンター集積型(3)脱炭素電源活用型――...
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。