【イギリス】政府、CCUSプロジェクト向け新契約モデル「移行期アクセス契約」の詳細案提示
英国政府がCCUSプロジェクト向けの新契約制度「移行期アクセス契約」の詳細案を提示した。
専門家の視点
英政府が示した「移行期アクセス契約(TAA)」は、CCUSプロジェクトの収益を保証する仕組みですが、ここには「実体」と「物語」の間に明確な非対称性があります。TAAがカバーするのはCO2輸送・貯留インフラへのアクセス権であり、回収設備の建設や稼働自体は別枠の支援に依存します。つまり、政府が提示したのは「利用条件」であって「実証・稼働の約束」ではありません。 過去のCCUS市場予測ではCAGR28.1%の成長が語られていますが、今回のTAAも同じ構造です。制度設計が先行し、実際に地下へCO2を圧入するプロジェクトの最終投資決定や貯留層の実証データは後回しになっています。先行研究でも、貯留層評価にはCO2-ブライン試験が時間とコストを要するため、代替手法の活用が検討されています。つまり、貯留性能の不確実性こそが実証の最大の障壁であり、契約制度だけではその不確実性は解消されません。 また、TAAが想定するCO2輸送インフラは、複数プロジェクトの同時稼働を前提に設計されますが、実際に稼働するプロジェクト数が少なければ、インフラ利用率は低下し、コスト回収構造は崩れます。