制度・政策

今後のFIT/FIP制度で支援する太陽光発電の類型、地域社会との共生を条件に

2026-08-05
資源エネルギー庁の再エネ主力電源化小委員会で、今後のFIT/FIP制度による支援重点化の対象類型を選定する基準が検討され、導入ポテンシャルや地域共生などの観点が示された。

専門家の視点

太陽光発電の支援重点化は、導入量という「実体」と地域共生という「物語」の接合点を試す制度設計です。選定基準に「今後の導入ポテンシャル」を置く以上、優良農地や傾斜地での大規模開発が再び有利になる可能性があります。一方で「地域との共生」を条件化するなら、送電線空き容量や地元合意形成のコストを誰が負担するのか、という実行レイヤーが欠落したままです。ここでの隠れた前提は、地域共生が定量的に評価できるという考え方です。しかし、合意形成の質や景観への影響は数値化しにくく、結局は発電コストの低い類型が優遇される構造が残ります。期待先行のリスクは、市場が「共生条件付き」を一種の認証ラベルと見なして、実態以上の社会的受容性を織り込むことです。次の観測点は、この基準が具体的な入札制度やFIP価格設定にどう落とし込まれるかです。基準の抽象度が高いままなら、物語先走りの典型になります。両立しにくい二つの事実、すなわち導入速度の追求と地域の丁寧な合意形成を、制度が時間軸でどう順序付けるかが、この検討の成否を決めます。

資源エネルギー庁の「再エネ主力電源化小委員会」の第3回会合で、今後のFIT/FIP制度で支援を重点化する類型の選定基準について検討が行われた。「1.今後の導入ポテンシャル」「2.地域との共生」「3.FIT/FIP制度の特性」などの観点から、支援重点化の対象とすべき類型を定める方針だ。 国内の太陽光発電の導入量は2025年12月末時点で78.0GWであり、2030年目標(103.5~117.6GW)を達成するには、今後約5年間で26~40GWの追加導入が必要となる。近年の導入ペースは年間3.5~5GW程度であるが、目標達成に向けては年間5~8GW程度に導入ペースを加速することが必要となる。 他方、2025年度の調達価格等算定委員会では、コストデータの動向等を踏まえ、事業用太陽光発電(地上設置)については、2027年度以降、FIT/FIP制度における新規支援の対象外とされた。 太陽光発電等の再エネ導入に際しては、地域社会との共生が大前提であり、2025年12月に関係閣僚会議で決定された「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」では、今後の事業用太陽光へのFIT/FIP制度での支援のあり方として、屋根設置等の地域共生が図られた導入支援への重点化が述べられている。 このため、資源エネルギー庁の「再エネ主力電源化小委員会」では、FIT/FIP制度で支援を重点化する類型の選定について検討が進められており、その第3回会合では、「1.今後の導入ポテンシャル」「2.地域との共生」「3.FIT/FIP制度の特性」などの視点に基づき、支援重点化の対象とすべき類型の検討が行われた。 FIT/FIP制度での新たな支援重点化の対象としては、導入ポテンシャルが大きく、今後の支援策により、実際の導入拡大が期待されることが重要である。 地域との共生を前提とした、効率的に事業が実施できる適地には限りがあるため、建築物の屋根等の有効活用を追求していくことは、太陽光発電の導入拡大に向けて重要である。 日本エネルギー経済研究所等の「地域条例・建物特性を考慮した太陽光発電の導入ポテンシャル調査」によれば、住宅屋根(南向き)では49.2GW、非住宅屋根では137.2~284.0GWと推計されており、足下の導入量と比較すると、屋根への導入ポテンシャルは多く残されていると考えられる。 また太陽光発電協会の「PV OUTLOOK 2050」において、建物設置型では2050年に209GWACの導入が見込まれている。同じく農業関連(耕作地、荒廃農地、その他農地)についても、107GWの大きな導入が見込まれている。 なお、屋根設置太陽光発電については、FIT/FIP制度において、初期投資支援スキーム等により既に一定の支援重点化がなされており、他の類型についても現行の屋根設置型の取扱いを参考として、新たな支援重点化の検討を行うこととしている。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境

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