【国際】SBTi、電力セクター向けネットゼロ基準第2次案公表。目標設定方式を大幅修正
SBTiが電力セクター向けネットゼロ基準の第2次案を公表し、目標設定方式を大幅に修正、8月31日までパブリックコメントを募集する。
専門家の視点
電力セクター向けネットゼロ基準の第2次案は、目標設定方式の修正を軸に、実体と物語の間にある溝を埋めようとする試みです。第1次案で市場から寄せられた「実行可能性」への懸念を反映し、方式を修正した点が読み取れます。ここでの中心的なズレは、物語先走りと実体が翻訳されていないことの交錯です。つまり、脱炭素という壮大な物語と、電力会社が実際に直面する系統運用や投資回収の物理的制約との間で、基準がまだ十分に噛み合っていない構造があります。特に、目標設定の基準年や対象範囲の扱い次第で、既存の石炭火力を抱える事業者が不利になるのか、それとも公正な移行が促されるのかが大きく分かれます。隠れた前提は、「科学的根拠」が常に事業者の財務的持続可能性と両立するという考え方です。しかし、現実には、系統の安定性や地域雇用といった別の価値と衝突する場面が必ず生じます。パブリックコメントで注目すべき観測点は、市場関係者が「この基準で資金調達ができるか」という視点から、どれだけ具体的な技術的フィードバックを寄せるかです。