水素供給網構築の技術開発 NEDO、6事業を決定
NEDOが2026年度の水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業の第1回公募で6事業を決定したことを報じている。
専門家の視点
水素供給網構築の技術開発は、実体が先行している分野です。液化水素の大規模輸送や地下貯蔵といった物理的インフラの知見は国際的に蓄積されており、日本企業も要素技術では優位性を持ちます。しかし、NEDOの公募決定は事業化の「入口」に過ぎず、肝心の需要創出と価格低減の検証は未達です。物語は「競争的なサプライチェーン」を掲げながら、実体のコスト構造や供給量の不確実性を翻訳し切れていません。ここに「物語先走り」の構造があります。 時間軸で見ると、技術開発は2026年度開始で、実証から商用化まで10年以上かかる一方、欧州や中東は既に水素の国際取引を開始しており、日本は後発です。制度面では、導入補助は手厚いが、長期の安定需要を保証する規制やカーボンプライシングの設計が遅れており、民間投資が萎縮しています。隠れた前提は「水素の製造・輸送コストが下がり続ける」ことですが、グリーン水素の電気代上昇やタンク材料の高騰で、その前提は揺らぎます。 観測点は、採択された6事業の実証地点とパートナー企業の資本関係です。