脱自動車でもDMG森精機が業績再上方修正、2028年度にピーク利益計画
専門家の視点
工作機械最大手のDMG森精機が業績予想を再上方修正し、2028年度にピーク利益を計画するという事実は、市場の「脱自動車」という単純な物語と実体のズレを示します。同社の強みは、EVシフトで部品形状が変わっても対応できる工作機械の汎用性と、GXによる省エネ・カーボンニュートラル対応です。ここでは「物語先走り」が起きています。市場は自動車需要の減退を過度に悲観しますが、実体は航空機や半導体、再生可能エネルギー関連部品への需要転換で成長余地があります。ただし、2028年度という時間軸の妥当性は検証が必要です。設備投資サイクルは短期的に変動しやすく、5年先のピーク計画は、現時点の受注残と技術開発ペースに依存します。次の観測点は、中国市場の減速が続く中で、欧州の航空宇宙分野や新興国の産業機械需要が計画を支えるかです。この計画は、脱炭素社会への移行が単なる需要減退ではなく、工作機械という基盤技術の再定義の機会であることを示す構造です。
DMG森精機では近年、MX戦略を推進している。このMXは、5軸加工機や複合加工機を用いた工程集約や自動化の拡大によって、GX(グリーントランスフォーメーション)を実現する取り組みだ。そして、それらの全工程で生まれるデータを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、ライフサイクル全体の持続可能性や効率を高めていく。「MXという大きな方針を広く顧客及び社会に浸透させることができた。MX戦略の基礎固めができた。2028年に向けて、これからその成果を刈り取っていく。商品またはシステムとして、社会に実装していき、より強い収益構造を実現する」(森氏) 中期の目標達成に向けて、メーカーとして世界各地にある18の生産拠点のさらなる効率化と更新を進めていく。これらは年間300億円の設備投資でまかなっていく。 グループ会社のWALCやDMG MORI Digitalおよび産業技術総合研究所と連携して、生産設備データエコシステムの構築と、製造フィジカルAI(人工知能)に向けた基盤モデルの研究開発に取り組む。DMG森精機のクラウドプラットフォーム「CELOS Xchange」を基盤に、協力企業約100社、約1000台の生産設備からデータを収集し、産総研を通じて暗号化、匿名化した上で高精度な加工を支える製造フィジカルAIの基盤モデルを開発する。 「現状の高度なAIは、クラウドを活用しないとなかなか使えない。ただ、2030年ごろには、高精度なCPUが世にたくさん出てきて、メモリの容量も上がり、価格も低化していく。それまでの間に、エッジAIで使うためのモデルを作らなければならない。そのために産総研とともに集める100社、1000台のデータやわれわれの基盤とつながっている1万台のデータを用いて、デジタルツインモデルを作る。それを個々の機械に搭載していくことで、クラウドを使わなくても、かなり高度なAIがエッジ側で使えるようになる」(森氏) DMG森精機としても、過去20年、約3000件のテスト加工のデータが蓄積されており、約1万台規模の実稼働データと合わせて、森氏は「エッジAI、フィジカルAIの工作機械としての最先端をさらに突き詰めていく3年間にしたい」と語った。 ⇒その他の「製造マネジメントニュース」の記事はこちら Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. Factory Automationの記事ランキング 日本版データスペースの現在地はどこ? AI時代における日本の勝ち筋について 痛みを無駄にしない、震災の教訓をつないでいくということ ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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