制度・政策

電気事業法改正で新融資制度 大規模電源や送電線の整備を政府が支援へ

2026-08-04
大規模電源や送電線の整備を政府が支援するため、電気事業法改正に伴う新たな融資制度の創設が検討されている。

専門家の視点

電力インフラへの巨額投資は、民間金融機関だけではリスク負担が困難な領域です。政府信用の活用は、設備形成という実体に資金を供給する合理的な手段です。しかし、ここで重要なのは、この融資制度が既存の電力会社の設備更新に向かうのか、新規参入による競争促進に使われるのかという点です。GXの文脈では、融資が「脱炭素電源へのシフト」と「系統増強」のどちらを優先するかで、投資の効果が大きく変わります。物語は「電力の安定供給」という枠組みで語られやすいものの、実際には再生可能エネルギーの接続待ち問題を解消する送電線整備こそが喫緊の課題です。ここにズレがあります。制度設計の議論は、誰が実行主体になるのか、どの電源種別を対象とするかが明確でなければ、融資が既存構造の維持に回る可能性があります。次の観測点は、対象電源の範囲と系統整備の優先順位が公開されるかです。時間軸で見れば、融資制度の創設は数年かかりますが、系統容量の不足はすでに顕在化しています。この遅れが、期待先行で進む再エネ投資の足かせにならないよう、制度の実行レイヤーを今のうちに詰める必要があります。

大規模電源や送電線など巨額投資が必要な電力インフラ整備の支援に向け、政府の信用力を活用した新たな融資制度の創設が検討されている。資源エネルギー庁の「電力事業環境整備ワーキンググループ」では、その詳細設計について検討が行われた。 今後のDXやGXの進展により、電力需要の増加が見込まれているが、大規模な電源や送電線の整備には巨額の投資が必要となる。このため、2026年7月に成立、公布された改正電気事業法では、政府の信用力を活用した融資制度を創設することにより、民間金融を補完し、長期・大規模な電力分野の投資を後押しすることとした。 具体的には、国は財政投融資や補助金を活用し、経済産業大臣が認定した以下1~3の整備または更新の計画に対して、電力広域的運営推進機関を通じて電気事業者に融資を行うものである。 改正電気事業法の本年12月頃の施行に向けて、資源エネルギー庁の「電力事業環境整備ワーキンググループ(WG)」では、広域機関によるファイナンス支援の詳細設計について検討が行われた。 改正電気事業法では、省令で定める出力以上の発電等用電気工作物の整備または更新の計画を、認定・融資の対象としている。 計画認定の対象となる電源の規模については、安定供給の観点から、経済安全保障法における規模要件を参考として、50万kW以上とされた。ただし、電気事業法では「合計出力」で判断するため、複数基の発電設備であっても一体的に計画・整備される電源の合計出力が50万kW以上であれば、要件を満たすこととなる。 また、計画認定の対象となる電源の種類については、供給力の確保と並び、脱炭素化の観点も重要である。このため、融資対象電源種については、安定供給に資する電源を広く対象としながらも、長期脱炭素電源オークションの対象となる「脱炭素電源」を優先的に支援することとした。つまり、LNG火力も融資対象であるが、優先順位は低いものとなる。 また、国による融資対象計画の認定に際しては、ファイナンス資源が有限であることを考慮するとともに、長期かつ巨額の貸付けが確実に返済されることが重要である。 このため計画認定にあたっては、政策目的への適合性や事業の実現可能性、償還の確実性等を認定要件として確認することとした。償還の確実性については、長期脱炭素電源オークションでの落札や、投資適格である契約先との長期PPA締結などにより、投資回収の予見性が担保されていることを求める。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境

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