【後編】自然関連の目標はどう立てればいいのか?SBTNの5ステップと実務ポイント
ネイチャー開示に対応する日本企業向けに、SBTNの5ステップと実務上の目標設定のポイントを解説している。
専門家の視点
自然関連開示の実務が、目標設定という具体的な局面に到達しました。SBTNの5ステップは、水や生物多様性といった個別テーマごとの評価から始める点が特徴で、企業の事業構造に根差した現実的なアプローチです。しかし、この方法論はデータ収集と評価に多大な労力を要し、実行レイヤーの人材不足が日本企業には顕在化しています。 構造上のずれは、開示義務という制度面の導入が先行し、目標を達成するための執行体制が追いついていない点です。ネイチャー開示は気候変動と異なり、評価指標の標準化が途上で、企業ごとの解釈の幅が大きいという実体があります。この実体を物語が十分に翻訳できていないのが現状です。 時間軸で見れば、自然関連の目標は土地利用やサプライチェーンの変更を伴うため、気候変動の削減目標よりも可逆性が低く、長期のコミットメントが求められます。ここで重要なのは、SBTNの手続きを踏むこと自体が目的化しないよう、事業への統合を先に設計することです。次に見るべき観測点は、目標設定後の進捗評価を担う社内人材の育成と、開示データの品質保証の仕組みです。