【国際】67カ国、パリ協定目標で公正な移行に言及。日本は言及なし。UNEPが制度設計要請
UNEPが各国の公正な移行の法制度・政策への組込み動向を分析した報告書を発表し、環境法治の観点から推進の必要性を提言した。
専門家の視点
公正な移行という概念が国際法制度に組み込まれる流れは、脱炭素政策の「社会的受容性」を制度的に担保する試みです。67カ国が言及する一方で日本が外れたのは、国内の雇用構造や産業政策との調整が未整理であることを映します。ここで問われるのは、日本の「GX実行戦略」が経済成長と雇用転換を同時に語りながら、労働者や地域社会への具体的な移行支援策を法制度として明示していない点です。物語と制度の間に明確なズレがあり、物語先走りの構造です。UNEPが要請するのは、単なる理念の明文化ではなく、補償・再訓練・地域経済の再設計など執行手段を伴う立法です。次の観測点は、日本が2025年度の法改正や基本計画の中で、公正な移行を定義し、誰が実施主体となるかを明記するかです。このズレを埋めるには、政策の受け手である労働者と地域の視点を制度設計に組み込むという、手続き上の転換が必要です。この点を欠いたままでは、国際的な評価は改善せず、国内の移行プロセスも摩擦を残すでしょう。