長野県のダム貯水池で水上太陽光、ペロブスカイトなど3タイプ実証 - ニュース
専門家の視点
水上太陽光の実証は、従来のシリコン系に加えペロブスカイトという新材料を同一貯水池に並置する点に意味があります。ここで問うべきは発電効率の優劣ではなく、3タイプが同じ日照・水温・波高条件下で比較できる試験設計の妥当性です。浮体式は波による微細なひずみがセルに累積するため、ペロブスカイトの耐久性評価が短期的な出力測定だけで済むはずがありません。実体は、固定式と異なる動的負荷が材料劣化を加速させる物理制約です。 一方、物語は「カーボンニュートラルへの貢献」として美しく語られますが、この規模の実証が系統連系や揚水発電との併用まで含めた事業モデルに接続する経路はまだ示されていません。期待は行政の補助金事業として着地しやすく、実証が実証のまま終わるリスクをはらみます。隠れた前提は「水上設置が陸上より優れる」という思い込みです。実際には、ダム湖は水位変動が大きく、係留コストと藻類付着対策が陸上比で割高になるケースが少なくありません。比較すべきは、同一地域の陸上太陽光や既存水力との併用収益であり、技術種別だけの比較では不十分です。
パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)は7月28日、長野県内のダム貯水池を対象に、ペロブスカイト太陽電池など複数の太陽光パネルを活用した水上太陽光発電設置の実証事業を開始すると発表した。環境省の令和8年度「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」に採択された。 実証では、常時設置する(浮かべる)フレームタイプ、洪水時などの異常時に撤去するいかだタイプの2種類の架台を用いる。大水深かつ大きな水位変動のあるダム貯水池における水上太陽光発電の適用可能性を検証するとともに、設計・施工・維持管理における技術的課題の解決を目指す。 太陽電池の種別、設置枚数、メーカーなどは現在検討中。ペロブスカイト・薄膜シリコン(アモルファスシリコン)・結晶シリコンの3種類の太陽電池を想定し、一般化することを考慮してそれぞれ流通量の多いサイズを用いる予定。フロート架台とEPC(設計・調達・施工)サービスは、東和アークス(さいたま市)が協力する。 2027年4月に設置し、実証期間は同年4月〜12月の予定。実証を通じて、ダムなどの水インフラ空間を活用した再生可能エネルギー導入モデルの構築を目指す。ダム貯水池への適用性が認められれば、全国の多目的ダムなどの内水面における再エネ導入の推進に加え、港湾など未利用水面への応用も期待されるとしている。 これまでもパシフィックコンサルタンツは、環境省の「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」、および愛知県の「矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト」の一環として、愛知県幸田町の菱池遊水地の堤防法面において、ペロブスカイト太陽電池など太陽光発電設備の実証実験を2025年7月〜2026年3月に実施している。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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