電子版ガスメディア2026年8月4日付【第384号】
専門家の視点
アルミ溶解炉からのCO2回収は実証段階としての成功を示していますが、時間軸とコスト構造の観点から見ると、本格的な社会実装にはなお距離があります。実証試験は技術的成立性を確認するものであり、工業プロセス全体での収支を成立させるための制度設計や炭素価格の設定が伴わなければ、企業の継続的な投資判断にはつながりません。一方、陸上養殖場への産業ガス供給は、既存インフラを活用した事業拡大であり、事業化までの速度が速い点で有望です。ここには、供給契約の長期性が利益の見通しを安定させるという現実的なビジネス構造があります。NEDOのグリーン水素還元鉄の試作成功は国内初の成果ですが、低品位鉱石を用いる技術の確立は、製鉄業の脱炭素化における根本的な課題への挑戦です。ここで注目すべきは、生産規模の拡大と水素価格の低減が同時に達成されなければ、実用化が進まないという二律背反の構造です。いずれの動きも真摯な前進ですが、共通する構造は「技術実証は進むが、経済合理性の確立が後追いになっている」点です。
■日本酸素など、アルミ溶解炉からCO2回収 日本酸素、日本軽金属、日軽エムシーアルミはこのほど、アルミニウム二次合金製造用大型溶解炉の排ガスからCO2を分離・回収する実証試験を実施し、成功した。 ■日本AL、国内最大陸上養殖場にガス供給 日本エア・リキード(AL)はこのほど、ピュアサーモンジャパンと長期的な戦略的パートナーシップを結び、同社が三重県津市で運営する国内最大の陸上養殖施設に対して産業ガスの包括的な供給を行うと発表した。 ■NEDOでグリーン水素還元鉄の試作に成功 NEDOはこのほど、グリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」の「水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発/直接水素還元技術の開発」において、日本で初めてグリーン水素を用いた還元鉄の試作に成功したと発表。
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