NEC、サプライヤのCO2削減効果を適切に反映した調達由来のCO2排出量を開示
専門家の視点
サプライヤー側の削減努力が算定に反映される構造そのものは、Scope3削減のインセンティブ設計として理にかなっています。従来の二次データ方式では削減努力が報われないという制度上の非対称性を、一次データの組み込みで補正した点が実体としての核心です。一方で、開示された削減効果約12%は、サプライヤーの実力向上というより、算定方法の変更による数値の見直しである側面が強い。これは物語先走りではなく、実体が新しい物語を生み出したケースですが、数値の改善が「努力の成果」と受け取られるリスクを内包します。ここにズレが生じます。隠れた前提への問い直しとして、この方式はサプライヤーが正確な一次データを開示する能力と協力姿勢を持つことを当然としていますが、中小サプライヤーを含む全体のデータ品質は未検証です。第三者レビューは方式の適合性を見ており、個別データの真偽を担保するものではありません。次の観測点は、この新方式が他社に波及し、Scope3算定の標準的な実務となるかどうかです。
NECは、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(注1)の算定において、サプライヤから収集したCO2排出量実績などの一次データを用いて、サプライヤによるCO2排出量削減の成果を反映したScope3カテゴリ1「購入した製品・サービス」(注2)の排出量を算定し、開示します。本開示にあたり、サプライヤから収集したCO2排出量実績などの一次データと、従来の業界平均の排出原単位などに基づく二次データを組み合わせた独自の算定方式(以下、新方式)を開発しました。これにより、従来の算定方式では十分に反映することが難しかったサプライヤのCO2削減成果を、排出量算定結果へより適切に反映することが可能になります。なお、新方式は、国際基準であるGHG protocol Scope3 standard(注3)への適合性に関する第三者機関のレビューを受けています。また、新方式の実装を支える仕組みとして「GreenGlobeX for Value Chain」を開発しました。本取り組みを通じて蓄積した知見やノウハウを活かし、お客さまのサプライチェーン全体におけるCO2排出量の可視化と削減の取り組みを支援し、脱炭素経営の高度化に貢献します。 気候変動への対応が企業経営の重要課題となる中、企業には自社の事業活動に伴う直接的な排出量だけでなく、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を把握し、削減に取り組むことが求められています。従来、サプライチェーンのCO2排出量算定では、調達額などの活動量に環境省により開示される業界平均などの排出原単位を乗じる二次データに基づく方式が広く用いられています。この方式では、サプライヤが算定したCO2排出量データを用いずに排出量を算定するため、サプライヤによるCO2排出量削減の成果を算定結果に十分に反映することが難しいという課題がありました。こうした背景を踏まえ、NECは、サプライヤの排出量実績などの一次データと従来の二次データを組み合わせることで、サプライヤによる排出量削減の成果をより適切に反映できるハイブリッド算定方式を新たに開発しました。 NECが開発した新方式は、サプライヤの排出量実績などの一次データと、調達額および産業連関表などの排出原単位に基づく二次データを組み合わせるハイブリッド算定方式(注4)です。 従来方式では、調達額などの活動量に業界平均の排出原単位を用いて排出量を算定していました。そのため、サプライヤが省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入などによりCO2排出量を削減した場合でも、その成果を正確に算定結果に反映することが難しいという課題がありました。新方式では、サプライヤの排出量実績や売上高などの一次データを活用してサプライヤごとの排出原単位を算出し、NECの調達実績に応じて排出量を算定します。特に、サプライヤから収集したデータを適切に選別することで、高品質な排出量を算定できることを特長としています。これにより、サプライヤによるCO2削減の取り組みや成果を、従来方式よりも適切に反映することが可能になります。また、今回開発したハイブリッド算定方式は、国際基準であるGHG protocol Scope3 standardへの適合性に関する第三者機関のレビューを受けています。 ハイブリッド算定方式 2.新たな算定方式を実装する「GreenGlobeX for Value Chain」を開発 NECは、今回開発した新方式を運用するための仕組みとして、「GreenGlobeX for Value Chain」を開発しました。「GreenGlobeX for Value Chain」は、サプライヤのサステナビリティへの取り組み状況を効率的に把握できる「Supplier Portal(サプライヤーポータル、注5)」や、AIがインターネット上の情報を自動で収集・分析するWEB AIクローリング、調達基幹システムなどから取得したデータを活用し、サプライヤごとのCO2排出原単位を算出します。そのうえで、調達実績に応じて排出量を配分・算定することで、サプライチェーン全体の排出量をより適切に可視化します。 GreenGlobeX for Value Chain 新方式に基づき算定した2025年度のNECグループにおけるScope3カテゴリ1排出量 新方式に基づき算定した2025年度のNECグループにおけるScope3カテゴリ1排出量は約3,434千t- CO2となり、従来の二次データ方式による算定見込みが約3,923千t- CO2であったことと比較すると、約12%少ない結果となりました。新方式を採用することで、サプライヤによる排出量削減の成果をより適切に反映することが可能です。なお、本結果については、第三者機関による保証を取得
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