FCタクシー購入費、愛知県が補助 水素社会へアジパラ大会で80台
専門家の視点
水素社会という物語が先に立ち、実体としての水素需要の創出が追いついていない構造です。愛知県は供給側である水素ステーション31カ所を整備済みですが、FCタクシー80台から2030年度の250台という導入目標は、タクシー事業の更新サイクルや燃料コストを踏まえると、補助金の増額だけでは到達しにくい数字です。 記事が「LPガス車くらいの負担」と表現する購入費の引き下げは、初期コストの是正であり、水素価格や航続距離を含むランニングコストの非対称性は解消されていません。実行レイヤーも明快です。補助金を受けるのはタクシー事業者ですが、水素を供給する側と需要を生む側の投資回収の時期がずれており、大会期間中というイベント需要に依存する機運醸成は、大会後の需要の反動減という隠れた前提を見落としがちです。 次の観測点は、2026年度の導入実績と、専用乗り場の稼働率です。両大会をきっかけにした水素モビリティーの社会的認知は進む一方で、補助金に依存しない事業として成立するかは、水素価格の動向とステーションの稼働率が握っています。
FCタクシー車両として導入されたトヨタクラウン=2026年7月24日、愛知県庁前、荻野好弘撮影 アジア・アジアパラ競技大会を控え、愛知県は燃料電池(FC)で走るタクシーの普及に力を入れている。今年度から事業者が車両を購入すると、1台あたり350万円の補助金を支給。大会中に県内で約80台を走らせたいという。 水素社会の実現に向けた県のプロジェクトの一つ。FC商用車の普及へ、県はトラックやバスを含め車両の購入費も補助してきたが、両大会を機にFCモビリティーの機運を高めようと、1台100万円のタクシーの補助金を今年度から引き上げた。 国の補助金を合わせると、LPガスで走るタクシー車両くらいの負担で購入できるという。 7月24日には宝交通、つばめ自動車、名鉄タクシーホールディングスの3社の車両(いずれもトヨタクラウンFCEV)が名古屋市の県庁前で披露された。大村秀章知事は披露式で「(3社の)先駆的な取り組みが持続可能な地域づくりへ、確かな一歩になることを期待している」と述べた。 県によると、県内には水素を供給するステーションが東京都の20カ所を上回る31カ所あり(6月末現在)、今年度は3社を含め7社がFCタクシーを導入する予定。アジア・アジアパラ大会の期間中、JR名古屋駅付近にはFCタクシー専用の乗り場が設置されるという。 県は2030年度までに250台のFCタクシーが県内で導入されることを目指している。(荻野好弘)
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