再エネ・技術

中国吉林省の電投緑能、グリーンアンモニアを韓国に輸出(中国)

2026-08-03
中国吉林省の電投緑能が年産18万トンのグリーンアンモニアを韓国に輸出し、関連企業連合は2026年1月に世界初の純アンモニア燃料による水素輸送を計画している。

専門家の視点

中国のグリーンアンモニア輸出は、再エネ資源が豊富な内陸部で生産し、韓国など海外需要に繋ぐ「資源輸出型」のビジネスモデルとして、単発の実証段階を超え商業化の入り口に立った構造です。今回の輸出で示されたのは、供給側に生産・物流・通関の実行レイヤーが既に存在する一方、購入側の韓国企業連合は2026年1月の混焼発電実証を控え、まだ「実証需要」である点です。つまり、現時点では生産側の商業化への期待が、消費側の商業化よりも先行する「期待先行」の構造と言えます。ただし、この非対称性は時間とともに解消され、2026年の実証開始後に韓国側の需要が本格化すれば、供給側の先行的投資が正当化される可能性が高い。隠れた前提は「グリーンアンモニアの国際市場は今後も拡大し続ける」という見方ですが、現状は日本や韓国でのCop29以降の政策動向次第で需要が大きく変動します。次の観測点は、韓国企業連合の実証が計画通り稼働し、安定的な継続調達に移行するかです。これは日本企業にとっても、海外でのグリーンアンモニア調達網構築の成否を左右する試金石であり、世界市場の形成は中国主導で進みつつあります。

このページではjavascriptを使用しています。 中国の国家電力投資集団(注1)傘下の国電投緑色能源(以下、電投緑能)は7月28日、吉林省大安市の風力・太陽光発電によるグリーン水素製造・合成アンモニア一体化実証プロジェクトで生産したグリーンアンモニア3,750トンについて、FOB(連雲港)条件で国際海上輸送の船積みを完了し、韓国向けに出荷したと発表した。同社は、今回の輸出について、同プロジェクトで生産したグリーンアンモニアの初の大規模輸出案件で、単一ロットとしては世界最大規模としている。 同プロジェクトは、電投緑能の全額出資子会社が投資・建設した実証事業で、2025年7月26日に試運転を開始した。香橙会研究院によると、総投資額は約63億元(約1,512億円、1元=約24円)で、800メガワット(MW)の風力発電設備、200MWの太陽光発電設備、年産3万2,000トンのグリーン水素製造設備、年産18万トンのグリーンアンモニア合成設備を整備したという(「香橙会研究院」7月28日)。 なお、香橙会研究院は、韓国側の購入者について、韓国電力公社、斗山重工、ロッテ精密化学などで構成する企業連合としている。同企業連合は2026年1月に世界初の純アンモニア燃料による水素・アンモニア混焼発電実証プロジェクトを開始しており、グリーンアンモニアの安定した調達需要があるという。 また、2025年9月には、遠景科技集団(エンビジョングループ、注2)の内モンゴル自治区赤峰市のプロジェクトで生産したグリーンアンモニア1,500トンが韓国向けに輸出されており、今回の輸出により、中国の韓国向けグリーンアンモニア輸出量は累計5,000トン超になったとしている(「香橙会研究院」7月28日)。 今回輸出したグリーンアンモニアは全量が同プロジェクトで生産された。電投緑能は、生産、危険化学品としての港への搬入、通関・検査、遠洋輸送までの一連の工程を確認し、グリーン水素の全産業チェーンの商業化の実現が可能であることを確認したとしている。今後、同社はEU、日本、韓国などの顧客開拓を進め、グリーンアンモニアの国際販売を加速する方針を示した。 (注1)中国の大手発電事業者。火力、水力、原子力、風力、太陽光発電、水素エネルギーなどの事業を展開する。 (注2)中国の再生可能エネルギー関連企業。風力発電設備、エネルギー管理システム、蓄電池、水素・アンモニア関連事業などを手掛ける。 ビジネス短信 23a8fd67a5996cdd メンバーズ・サービスデスク(会員サービス班) E-mail:jmember@jetro.go.jp

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