【日本】環境省、自治体向けグリーン購入ガイドラインと環境配慮契約ガイドラインを11年ぶりに改訂
専門家の視点
改訂の核心は、特定調達品目の増加と判断基準の強化という実体の変更です。しかし11年という空白期間が、自治体の現場に執行体制と人材の断絶を生んでいます。ガイドラインは導入の手続きだけ示し、誰が予算を確保し調達担当者を教育するのかという実行レイヤーが明確でない点が構造的な弱点です。物語は脱炭素目標の達成という壮大な方向性を示す一方、具体的なKPIや進捗検証の仕組みが欠けており、物語先走りの懸念があります。実際に自治体の調達実務は非正規職員が担うケースが多く、専門知識の蓄積が困難です。新基準を運用する能力が伴わなければ、通知だけが形骸化し、期待に応えられない結果になります。次の観測点は、改訂を踏まえた各自治体の調達計画の改定状況と、職員研修の具体的な実施有無です。11年ぶりの改訂は良い契機ですが、基準を守る組織能力に投資しなければ、絵に描いた餅に終わります。制度の更新速度と執行能力の更新速度が大きく乖離しているのが、この改訂の本質的な課題です。
環境省は7月31日、「地方公共団体のためのグリーン購入取組ガイドライン」と「地方公共団体のための環境配慮契約取組ガイドライン」を11年ぶりに改訂した。特定調達品目の増加や判断基準の強化を反映した。 同省は、2008年に閣議決定された第2次循環型社会形成推進基本計画で、2015年度までに全ての地方自治体が組織的にグリーン購入を実施することが目標として掲げられたことを踏まえ、2010年に「地方公共団体のためのグリーン購入取組ガイドライン」を策定。その際にも、グリーン購入が単なる調達コストの増大ではなく、環境配慮型製品の市場の拡大や、省エネ製品等では結果的に大幅な総支出総額の削減につながるということも訴求していた。 一方、グリーン購入法の特定調達品目に定められている22品目のうち、1つ以上でグリーン購入を組織的に実践している市町村割合は、2025年度時点でも55%にとどまっている。都道府県毎でも、富山県の80%から奈良県の27%と非常に差が大きい。さらにグリーン購入を組織的に実践している地方自治体でも、22品目全てで実践しているところは極めて少ない。 今回改訂された「地方公共団体のためのグリーン購入取組ガイドライン」は、内容を一新し、グリーン購入法の現状や、同法同第10条でグリーン購入が地方自治体の努力義務と定められており、調達方針の作成及びそれに基づく調達の推進に努めることと規定されていることにも言及した。調達方針の作成は現状、都道府県と政令指定都市では100%作成されているが、市区で40.4%、町村では7.9%にとどまっている。 また、同ガイドラインでは、方針の策定段階、調達・契約の実施段階、実績の集計段階等にわけ、陥りやすい課題とそれに対する対応方法をまとめた。 グリーン購入法の特定調達品目となっている22品目以外でも、電気、自動車(リースやレンタル含む)、船舶、建築物については、環境配慮契約法の対象となり、同様にグリーン調達が地方公共団体の努力義務となっている。地方公共団体のための環境配慮契約取組ガイドラインは、環境配慮契約法の対象について、陥りやすい課題とそれに対する対応方法がまとめられている。 環境配慮契約の方針策定では、現状、都道府県と政令指定都市でも53.7%にとどまり、市区は11.1%、町村では0.9%と極めて低い水準にある。 【参照ページ】「地方公共団体のためのグリーン購入取組ガイドライン」の改定及び「地方公共団体のための環境配慮契約取組ガイドライン」の策定について 【参照ページ】グリーン購入調達方針及び組織的実施状況(都道府県別) ※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。 【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所
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