直轄土木でグリーン鉄活用/試行工事、初弾は6件/国交省
国土交通省が直轄土木工事でグリーン鉄を活用した試行工事を6件実施し、製造段階を含むCO2排出量の算定方法などに関する知見を蓄積する。
専門家の視点
国交省が直轄土木の試行工事6件でグリーン鉄活用に踏み出す構図は、実体が先行し、それを制度が追いかける形です。まず、グリーン鉄の供給量や価格競争力という物理的な制約が現実としてあり、CFP算定調査ではその実態を把握しきれません。むしろ、試行を通じて「誰が追加コストを負担するのか」という実行レイヤーの問題が浮上します。公共工事の予算制度は単年度主義であり、グリーン鉄の割高な価格を中長期でどう織り込むかという時間軸の非対称性が根本的な論点です。また、物語としては脱炭素の旗印が先行しますが、グリーン鉄のCO2削減効果は製造工程の電源構成に依存し、現状の高炉主流では限定的です。「グリーン鉄は自動的に脱炭素に貢献する」という隠れた前提を問い直す必要があります。流通市場での付加価値創出という期待は、現状では実体の裏付けが薄く、期待先行の構造です。次の観測点は、この試行でCFP算定結果が公表され、割高なグリーン鉄の採用判断基準が明確になるかどうかです。国交省の動きは、公共調達という強力な需要創出でありながら、コスト転嫁の仕組みが未整備なまま進むため、実体欠落のリスクを内包しています。