グリーン鉄 本格活用へ 経産省が試行工事開始
経産省がグリーン鉄の本格活用に向けた試行工事を開始した。
専門家の視点
公共工事におけるグリーン鉄の試行は、需要創出という点で実体のある一歩です。しかし、ここで問うべきは、経産省が率先して需要を作るという「物語」が、鉄鋼メーカーの供給能力や価格転嫁の現実に追いついているかです。グリーン鉄の普及は、製造プロセスの転換に巨額の投資と長期のリードタイムを要します。公共工事での試験導入は、その時間軸を前倒しする効果はありますが、コスト増加分を誰が負担するのかという制度設計が未整備のままでは、試行は「実証」の域を出ません。一方で、期待のレイヤーは明確です。公共工事という確実な需要が見えることで、鉄鋼各社は投資判断をしやすくなります。ここでの構造的なズレは実体と物語の間ではなく、物語と期待の間にあります。環境価値を訴求する物語は先行しますが、その価値を可視化するCFP算定の標準化や、国際的な相互認証といった制度インフラが追いついていません。次の観測点は、この試行工事で得られるCFPデータが、日本の公共調達の仕様要件にどう組み込まれるかです。
経済産業省は31日、2030年度以降の公共工事におけるグリーン鉄(GXスチール)の本格活用に向けて試行工事を実施すると発表した。橋梁や河川の直轄土木工事で6件の試行工事が確定し、年度内に20件以上の工事で実施される見通し。製造段階を含めたCO2排出量(CFP)の算定など調査し、公共工事での活用の足掛かりとする。
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