鉄道で水素大量輸送 関西電力・JR西、既存インフラで実証
関西電力やJR西日本など9社が鉄道などの既存インフラを活用した水素の大量輸送を目指す実証を開始する。
専門家の視点
鉄道既存インフラでの水素輸送実証は、輸送時のCO2排出量を透明化する点が画期的です。しかし構造的な論点は、水素そのものの供給源にあります。2030年の豪州調達は現実味がありますが、輸送手段の効率化と供給源の脱炭素化は別問題です。ここでの核心は「鉄道輸送のCO2削減効果」と「水素製造時のCO2排出」を同時に評価できるかどうか。実証のKPIが輸送効率のみに限定されれば、物語が実体を追い越す「物語先走り」の構造に陥ります。 水素社会の前提は「製造時にCO2を出さないグリーン水素」の確保ですが、現状の技術では製造コストが高く、価格競争力に課題があります。鉄道輸送の優位性は定着する一方で、供給源の脱炭素化が遅れれば、輸送段階だけを飾る「実体欠落」になります。次の観測点は、実証で計測されるCO2排出量がどの範囲までを含むか、そしてNTTグループが担うデジタル基盤が排出量の見える化をどこまで正確に実行するかです。日本の水素戦略は導入フェーズから実行・検証フェーズへ移行しており、この実証が「輸送だけの成功」で終わるか、「供給全体の脱炭素化」につながるかが、2020年代後半の分水嶺になります。