原子力関係閣僚会議-令和8年7月31日 | 政府広報オンライン
政府がエネルギー安全保障と脱炭素に寄与する原子力の最大活用を決定し、NEDOの役割などを確認した原子力関係閣僚会議を開催した。
専門家の視点
原子力最大活用という決定には、前提となる再稼働の実績や使用済み燃料の処理といった物理的な制約が明確に伴いません。エネルギー安全保障と脱炭素はともに時間軸の長い課題であり、決定だけで技術的・制度的な盤石さが示されたわけではない構造です。ここに物語が先行する構図があり、実体としての原子力発電所の建設期間や廃炉処理という可逆性の低い負担が、会議の場に十分に翻訳されていない点が核心です。NEDOの役割が確認されたものの、それは実証や研究支援にとどまります。本番の運転や立地地域との合意形成は別の実行レイヤーであり、そこへの人的資源と時間配分が示されないまま、官僚機構の手続きとして進みます。次の観測点は、この会議で述べられたNEDOの具体的な予算枠と、既存原発の稼働率改善に向けた工程表です。いずれも数値と期限が公開されなければ、決定は宣言の層に留まります。原子力を使うかどうかではなく、使うと決めた際に、廃棄物と立地という解決期限の長い宿題を誰が引き受けるのか。日本はその引き受け手を産業界と地域社会の間で確定できないまま、最大活用という言葉を先に打ち出しています。