安定的な電源供給と次世代型地熱 第1回 次世代型の位置付けと種類
データセンター拡大などに伴う電力需要増加を踏まえ、次世代型地熱発電のカーボンニュートラル価値やベースロード電源価値を解説する記事
専門家の視点
従来型地熱が抱える制約は、単なる技術課題ではなく日本列島の地質構造という物理的な前提に根ざしています。自然公園との重複や断層の複雑さを人為的に消すことはできず、開発可能面積が限られる以上、現状の手法で発電量を大きく伸ばす余地は限定的です。ここに次世代型地熱の実体としての資源ポテンシャルが登場しますが、留意すべきはその評価値の性格です。見込まれる6600万キロワットという数字は、地下の熱資源量であって、実際に取り出せる発電量ではありません。クローズドループやEGSは循環流体の回収率や掘削コスト、微小振動の抑制など、商業化への距離が長い課題を抱えています。一方、超臨界地熱は発電コストの試算が示される一方で、高温・高圧という過酷環境下での技術実証はまだ初期段階です。つまり、資源量という実体はあるものの、それを経済的に回収する技術と制度が追いついていない構造があります。政府の加速化パッケージや協議会の中間とりまとめは物語の整備であり、市場の期待はその物語に先走っています。次の観測点は、日本企業が出資する海外実証で、掘削コストと長期安定生産の実証データが示されるかどうかです。