トヨタ「クラウン」FCVなど導入補助…愛知県がFCタクシー普及、30年度250台
専門家の視点
全国2例目となるFCタクシー普及策は、実体・物語・期待の構造で見ると「物語先走り」の典型です。実体として、愛知県は全国一の水素ステーション数を誇り、トヨタの本拠地という地理的優位性は確かです。しかし、FCタクシーは水素コストとステーション運営の経済合理性がまだ成立しておらず、台数目標の250台は都内の導入実績と比べても野心的です。物語は明確で、水素サプライチェーン構築のため商用車で需要を創出するという筋道は理にかなっています。ただし、タクシー事業者への補助が「導入初期費用」に限られるのか、水素燃料費の継続補助まで含むのかが不明なままでは、ランニングコストが高いFCタクシーの稼働率は維持できません。期待レイヤーでは、2026年アジア競技大会までに80台という期限は、イベント需要で水素をアピールする政治的な象徴性が先行しています。車両導入は進んでも、水素価格が下がらなければ台数は伸びず、再び水素社会の「卵と鶏」問題に戻るリスクをはらみます。隠れた前提は「ハイブリッド車と同等の稼働率でFCタクシーが走り続ける」ことですが、燃料費とステーションの立地制約を考えれば非現実的です。
愛知県県庁前に並んだトヨタ「クラウンFCV」のタクシー 愛知県は県内タクシー事業者やトヨタ自動車と連携し、燃料電池(FC)タクシーの普及に乗り出した。トヨタの旗艦車種「クラウン」の燃料電池車(FCV)などを導入するタクシー事業者に補助金を出す。水素の需要と供給を創出し、水素社会の実現を目指す。同県はFCタクシーを2030年度までに250台導入する方針。9月に県内で開幕するアジア競技大会までに80台を走行させたい考えだ。 24日に名古屋市中区の愛知県庁で「FCタクシーお披露目式」を実施した。大村秀章県知事は「国内でも生産できる水素エネルギーに対する期待は大きい。愛知県は全国一の水素ステーション数を誇る。水素のトップランナーとしてさらなる活用を進めたい」と意気込んだ。トヨタ日本事業本部の友山茂樹本部長は「水素サプライチェーン(供給網)を構築するには水素の消費量を増やす必要がある。それには毎日一定量使用する商用利用がカギ。FCタクシーは水素社会の実装を加速する」と期待した。 同様の取り組みは全国で2例目。東京都では25年9月からFCタクシーの導入を支援している。
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