【CSR研究会】SSBJを契機とした持続的な企業価値向上のためのサステナビリティ情報開示に関する調査研究報告書を公表(企業活力研究所)
企業活力研究所が、SSBJを契機としたサステナビリティ情報開示に関する調査研究報告書を公表した。
専門家の視点
SSBJ(サステナビリティ基準委員会)の基準を契機に、企業が持続的な価値向上へつなげるための情報開示のあり方を調査した報告書ですが、ここには「物語先行」の構造が潜んでいます。報告書の狙いは「開示が目的化せず、経営の質を高めること」ですが、実体として国内企業の多くは開示対応の人員やデータ基盤、ガバナンス体制が整っておらず、SSBJ基準に沿った開示を実行するだけでもキャパシティオーバーになりかねません。開示が経営改革の「きっかけ」になるという物語は正しい一方で、実行レイヤーが現場に落ちていないという非対称性が無視されています。特に、サステナビリティ情報の作成には財務会計と異なるスキルや部門横断的な連携が求められますが、その人材育成やシステム投資は長期テーマであり、短期間で成果を出せるものではありません。この報告書が前提とする「開示すれば企業価値が向上する」という因果関係は、投資家側の情報活用能力が伴わなければ絵に描いた餅です。次に見るべきは、この報告書が示す理想と、企業が実際に開示を始めた後の「失敗の扱い方」です。