再エネ・技術

航空オイルショック(4)「死の谷」の脱炭素燃料

日本経済新聞 2026-07-23
航空業界の脱炭素燃料(SAF)が商用化の課題「死の谷」に直面している状況を報じている。

専門家の視点

SAFの商用化は技術的には可能だが、コストと供給量の壁が「死の谷」を形成しています。実体として、現時点でのSAF生産コストは従来のジェット燃料の3~5倍であり、経済合理性が成立していません。一方で、物語としては2050年までのカーボンニュートラル達成という壮大なビジョンが先行し、国際的な枠組みや航空会社の目標設定が進んでいます。ここに物語先走りの構造があります。期待については、投資家や市民の関心は高まっているものの、実証プラントから商業規模へのスケールアップに必要な資金やインフラ投資が追いついていません。このギャップの核心は、技術開発と制度設計の時間軸の非対称性です。SAFの生産設備は建設に5年以上かかり、政策の助成金や規制も議論途上であり、実行レイヤーが明らかになっていません。隠れた前提は、技術進歩だけでコストが自然に下がるという楽観的な見方です。現実には、原料調達の持続可能性や地政学リスクも無視できません。従って、次に見るべきは、日本企業が国際的なSAF認証制度や共同調達枠組みにどう参画するか、という制度の具体化の動きです。

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