「環境価値管理台帳」で見えないGHG削減にトレーサビリティを ~GHG削減の“履歴”を追える仕組みとは~
日本郵船がGHG削減の履歴を追跡できる環境価値管理台帳の仕組みについて紹介している記事です。
専門家の視点
GHG削減の「履歴を追う」台帳システムは、削減効果の可視化と信頼性向上を狙った仕組みです。実体として、この台帳は削減量の二重計上を防ぎ、カーボンクレジット市場の透明性を高める技術的基盤となります。しかし、ここで問われるのは「誰がこの台帳の信頼性を検証するのか」という実行レイヤーの欠落です。台帳の導入自体は制度設計として進んでいますが、その運用を担う監査人材や第三者認証機関の体制が追いついているとは言えません。物語としては「トレーサビリティの確保」という明確な目的が語られていますが、トン当たりの削減コストや市場価格への影響といった経済合理性の説明が不足しています。期待先行の構造です。日本郵船のような荷主企業が主体的にこうした仕組みを導入する動きは、GHG削減価値を資産として扱う流れを加速させるでしょうが、制度と人材の非対称性がボトルネックになる見込みです。次の観測点は、2025年度中に予定される実証実験で発生する実際の運用課題です。