制度・政策

エネ庁 50万kW以上電源へ融資方針 原子力など脱炭素電源優先

2026-07-29
経産省・エネ庁が50万kW以上の電源に対し、原子力など脱炭素電源を優先する融資方針を発表した

専門家の視点

この制度は、大型電源への融資という実体のある仕組みを整えながら、その対象を長期脱炭素電源オークションの落札案件に絞ることで、特定の物語(原子力など脱炭素電源を優先する)を実行に移そうとしています。しかし、ここには明確な構造的ズレがあります。融資対象を出力50万kW以上と設定したことで、実質的に原子力発電所と大規模な揚水発電などに限定される一方、サプライチェーンや人材確保の実現可能性を認定要件に含めた点がミスマッチです。原子力の新増設やリプレースには10年単位の長期計画と確立されたサプライチェーンが不可欠ですが、現時点で国内に具体化した新規建設計画は存在しません。つまり、融資制度という実体は用意されたものの、融資を実行する「案件」という実体が伴っていないのです。この制度が2026年度、2027年度の融資実行を掲げる一方で、事前相談を2025年8月から開始するという時間軸の短さは、物語先行の構造をさらに際立てています。次の観測点は、2025年度中にこの制度を活用する具体的な原子力事業計画が事業者から提出されるかどうかです。

融資制度スキームのイメージ図ⓒ資源エネルギー庁 経済産業省・資源エネルギー庁は7月28日、国の財政投融資を財源とする電力広域的運営推進機関(OCCTO)による、融資対象を出力50万kW以上の発電設備とし、原子力など長期脱炭素電源オークションの対象となる脱炭素電源を優先的に支援する方針を示した。なお出力については、合計出力での判断とする場合もある。 今回の融資制度は電力の安定供給確保に向け、資金調達が困難な、長期かつ大規模な電源・送電線への整備を促進するためのもので、7月に成立した改正電気事業法に創設が盛り込まれた。融資総額はプロジェクト全体の融資総額の3割程度とするが、投資額が巨額となる案件については、柔軟な上限設定も検討する。金利水準は民間金融機関並みで、電源・系統への設備投資の回収期間が長期に及ぶことを鑑み、融資期間は民間よりも長期の期間も認める。 そのほかに融資対象として認定するための認定要件の候補として、サプライチェーン・人材確保を含む事業計画の実現可能性や償還確実性を含む資金・返済計画の蓋然性、民間金融機関の活用状況などが挙げられた。さらに、長期脱炭素オークションの落札案件であること、長期PPA(電力購入契約)案件であることは、償還確実性が高いと評価される。 2026年度および2027年度の融資について、計画認定後の融資審査、契約手続き、経済産業大臣への意見照会等の必要手続きに4か月程度を要することを踏まえ、来月8月頃から事前相談受付開始を見据えており、2026年度分については2027年3月の融資実行を予定する。 政府の「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」でも、脱炭素電源投資支援に資する制度措置の検討・具体化が記載されており、本制度が民間事業者にとって使いやすい制度となることが期待される。

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