再エネ・技術

地中で水素製造、電気使わずコスト8割減 九大と九電

2026-07-29
九州大学と九州電力が、電気を使わず地中で水素を製造する技術でコストを8割削減する計画を発表し、2030年に掘削を開始する予定。

専門家の視点

地中で水素を製造する技術の核心は、かんらん岩と水の化学反応を利用する点です。この記事が示す「電気を使わずコスト8割減」という数字は、物語としては非常に強力です。しかし、ここで問うべきは「いつ、どの規模で実現するのか」という時間軸と実行レイヤーの現実です。記事は2030年の掘削開始を掲げますが、現時点で実証段階に入っておらず、九州地方で経済性が見込めるかんらん岩の賦存量や採掘コスト、反応速度の制御といった実体(技術課題・物理制約)が十分に示されていません。この構造は典型的な「物語先走り」です。九大と九電という研究・電力セクターの連携は評価できる一方で、地下の化学反応を工業プロセスとして成立させるには、地質調査の長期化や環境影響評価といった制度・手続きの非対称性が立ちはだかります。隠れた前提は「かんらん岩が十分な量と反応性を持っていること」ですが、日本の地質条件では海外ほど高品位な鉱床が少ないという別の現実があります。観測点は一つ、九大・九電が2030年までにどの段階の実証データを公開するかです。そのデータがなければ、この物語は期待先行のまま地中に埋没します。

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