「電気事業法の一部を改正する法律案」が成立しました(METI/経済産業省)
専門家の視点
今回の電気事業法改正は、送電線整備への財政投融資活用や大規模電源の休廃止協議義務化により、制度上の「実体」を強化した点が特徴です。電力広域機関への貸付原資拡充や値差収益の国庫納付は、物理的な送電インフラ整備を現実のものとする手続きです。しかし、ここには「物語」と「実体」の間に明確なズレがあります。法改正の物語は「安定供給とエネルギー安全保障の推進」ですが、肝心の需要増加に対応する供給力の具体的な規模目標や、整備計画の達成期限は示されていません。また、「大規模発電事業者」と「一般送配電事業者」の行動を前提としていますが、誰が実際に新設や設備更新を実行するのか、実行レイヤーの具体像が欠落しています。さらに、この法律が前提とする「DXやGXの進展による電力需要増加」は、省エネや再エネ自家消費の拡大で実態が変わる可能性を無視しています。次の観測点は、認定計画の実証スケジュールと、電力広域機関の貸付実績です。制度は動き出しましたが、それが供給力増加に直結するかは不透明であり、物語先走りではなく、実体の翻訳不足の構造と言えます。
「電気事業法の一部を改正する法律案」が2026年7月17日(金曜日)に参議院本会議にて可決され、成立しました。 ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化により国際的なエネルギー情勢が変化する一方、国内ではDXやGXの進展による電力需要の増加が見込まれています。 こうした中で、電力の安定供給を確保しエネルギー安全保障を推進するべく、大規模な地域内・地域間送電線の整備の促進や大規模電源の整備の促進等による供給力の確保、電気事業の安定的・持続的発展のための環境整備、太陽電池発電設備等の安全性の向上等に関する措置を講じます。 1.経済産業大臣が大規模発電事業者の大規模電源の整備計画や、一般送配電事業者等の地域内送電線等の整備計画を認定し、電力広域的運営推進機関(電力広域機関)※が財政投融資等を活用し、整備等に必要な資金の貸付けを行います。 ※ 電気事業の広域的運営の推進のため、電気の需給状況の監視や供給力の確保の促進等を行う認可法人 2.電力広域機関が行っている一般送配電事業者等に対する地域間送電線等の認定計画に基づく整備等に必要な資金の貸付けの原資を、財政投融資等を活用し拡充します。 3.広域での電力取引によって生じる資金(値差収益※)を国庫納付することとし、電力広域機関への補助を通じた地域間・地域内送電線の整備等に活用します。 4.大規模発電事業者が大規模電源を休廃止する際に、一般送配電事業者等と事前に協議を行うことを定めます。 1.小売電気事業の適正化のため、小売電気事業者の登録取消事由に一定期間の休止等を追加します。 2.電力取引の促進のため、現行の翌日市場に加えて、今後、安定供給の確保の観点で重要となる中長期市場や需給調整市場を開設する各卸電力取引所を経済産業大臣が指定・監督できるものとします。 1.太陽電池発電設備の設計不備による事故を防止するため、その支持物等について第三者機関(登録適合性確認機関)による工事前の技術基準への適合性確認の対象とします。 2.製品・施工不良等、設置者のみでは原因究明・再発防止等が困難な場合に、製造・輸入販売事業者、工事業者に必要な協力を求める措置を設けます。 一部の規定を除き、本法律の公布後9月以内に施行します。 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 政策課長 那須 担当者:久保山、髙橋、藤澤 電話:03-3501-1511(内線 4731) メール: bzl-denjihoutako-soukatsu★meti.go.jp ※ [★]を[@]に置き換えてください。 産業保安・安全グループ 電力安全課長 前田 担当者:柿木、中西、橋本、野崎、柴、梅津 電話:03-3501-1511(内線 4921~9) メール:bzl-s-hoan-denryokuanzen★meti.go.jp ※ [★]を[@]に置き換えてください。
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