プレ協、既存住宅流通推進へ検討ワーキング
専門家の視点
プレハブ建築協会が公表した新中期計画は、「住宅単体」から「まちづくりという面」へと良質ストック形成の視点を拡張しましたが、その中心にあるのは「実体が翻訳されていない」構造です。既存住宅流通推進の検討ワーキング設置や2027年までの目標設定スケジュールは、業界が実体としての技術・制度基盤を持ちながら、それを市場や市民に伝える物語が不足していることを示しています。特に、カーボンニュートラル目標(GX ZEH比率30年に戸建て50%)は数値として掲げられていますが、誰が・いつ・どのコストで実行するのかという実行レイヤーが具体化されていません。隠れた前提は「会員企業が主体となれば流通も脱炭素も進む」という発想ですが、既存住宅市場の適正評価には不動産事業者・金融機関・購入者といった非会員の協力が不可欠であり、そこへの翻訳が欠けています。次の観測点は、検討ワーキングが27年3月までに設定する目標が、業界内部の達成可能性ではなく、外部市場の行動変容を指標として設計されるかどうかです。数字が先行し、現場の巻き込み手段が後追いになる典型的な日本型GXの課題を、この計画は体現しています。
(一社)プレハブ建築協会は27日、同協会住宅部会による中期活動計画「住生活向上推進プラン2030」を公表。同日、マスコミ向けの説明会を開いた。 2025年度を最終年度としていた前プランを踏まえ、同協会の行動憲章と同部会の行動ビジョン、さらに4月にスタートした新たな「住生活基本計画(全国計画)」等に対応。これまでの路線は踏襲しつつ、住生活基本計画の方向性などから、同協会に期待される内容について検討、プランに落とし込んでいる。 新プランは、「安全・安心のさらなる確保と、先導的技術・性能向上への取り組み」「良質なストック社会の構築」「住宅・まちづくりにおけるバリューチェーンを通じた地球環境の保全」など7つの大項目に、それぞれ施策展開の方向性と具体的な実施策、成果管理指標を設定した。 新プランの最大の特徴は、従来計画よりも一歩踏み込んだストック対策。「前プランでは、住宅単体での良質なストック形成を重視していたが、新プランは世代循環する良質なまちづくりという『面』的な視点で良質なストック形成をとらえている」(同協会プラン推進委員会委員長:本間克己氏)。 また、既存住宅流通の推進に関する検討にも着手する。既存住宅市場で適切に評価され、流通が活性化されるような取り組みを推進するべく、検討ワーキングを設置し、27年3月までに具体的な検討テーマと目標を設定し、30年までのスケジュールについても策定する。同部会住宅ストック分科会代表幹事の久保新吾氏は、「(一社)住宅生産団体連合会や、(一社)優良ストック住宅推進協議会とも連携していく。また、初年度は会員企業傘下の不動産会社にも協力を呼び掛けていくつもりだ」などと話し、その後は会員以外の一般の不動産事業者や不動産業界団体との連携を模索していきたいという。 50年カーボンニュートラルを目指すための環境対策もより一層推進。新築戸建て・新築低層集合住宅・住宅ストックの脱炭素化をこれまでに以上に推進するのに加え、工場生産や輸送・施工といった各段階での脱炭素化を進めるほか、調達先と連携したバリューチェーン全体のCO2排出量の削減を目指す。30年には、新築住宅のGX ZEH比率が戸建て50%、低層集合住宅40%を目標に設定。住宅ストックは30年に、断熱・省エネリフォームによる一次エネルギー消費量削減への貢献量が20年度比50%増を目指していく。 このほか、国際貢献活動として、海外における災害・紛争等に伴う支援要請に応急・復興支援策の検討と展開、応急仮設住宅に係る国際基準等の情報を収集して必要に応じて提言するなどといった取り組みを打ち出した。
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