CO2分離・回収装置を開発 アイシン、28年までに実用化めど
専門家の視点
アイシンが開発中のCO2分離・回収装置は、高さ約3メートルというコンパクト性と、溶解炉の廃熱活用によるエネルギー80%削減が実体として示されています。しかし、注目すべきは「2028年3月までに実用化のめど」という時間軸の不確かさです。実証実験は溶解炉1基が1日に排出する3トン規模に移行した段階であり、18基の溶解炉全体への展開や、回収したCO2をメタン燃料やコンクリート原料として利用する事業モデルは、まだ物語の段階にとどまります。ここにあるのは「実体が翻訳されていない」構造です。技術的な小型化と効率化の成果は明確ですが、それが工場全体のカーボンニュートラル目標(2035年)や、協力会社への販売という外部展開にどう接続するのか、経路が示されていません。特に、CO2の排出量が時間変動する中で、装置の追随性能を検証する段階にあることは、実用化のハードルが高いことを示唆します。また、隠れた前提は「回収したCO2の再利用先が確実に存在する」という点です。メタン燃料やコンクリート原料の市場や需要が、同社の設備投資や協力会社の導入判断を左右するはずですが、記事では触れられていません。
アイシンは、アルミダイカストの溶解工程で発生する二酸化炭素(CO2)について、分離・回収する装置を開発する。西尾ダイカスト工場(西尾市)で実証実験をしており、2028年3月までに実用化にめどをつける計画。従来装置は高さが20~30メートルと大型になるが、開発中の装置は高さ約3メートルとコンパクトにできるのが特長。回収したCO2はメタン燃料やコンクリート原料に再利用する計画で、設備は自社で活用するほか協力会社などへの販売も目指す。 同工場では、電動駆動装置「イーアクスル」などのアルミ製のケースをアルミダイカストにより生産しており、溶解炉は18基ある。23年に同工場で少量のCO2の回収・分離装置の実証実験を始めてきた。この成果を受け、溶解炉1基が1日に排出するCO2の全量に相当する3トンの規模の実証装置を設置し、性能の検証やコンパクト化を進める。また排出するCO2量は時間によって変動するため、変動に追随できるかも検証する。 同社の装置は独自の回転装置を導入したのが特長。これにより効率的にCO2を吸収液で吸収でき、小型化ができた。また吸収したCO2を取り出す時には溶解炉の熱を活用。これによりエネルギーを従来比80%削減できる見込みだという。 同社は35年に自社工場の生産におけるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成を目指している。溶解炉はCO2の排出量が多いことから、分離・回収の取り組みは目標達成に向けて重要な取り組みとなる。(鈴木隆宏) \お申込み初月無料!/ 電子版「中経オンライン」のご案内
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