再エネ・技術

日本にもう1つの太陽を! Helical Fusionと安藤ハザマがタッグ:材料技術(1/2 ページ)

2026-07-26
Helical Fusionと安藤ハザマが核融合発電の材料技術で協業するニュース

専門家の視点

核融合発電の商用化を目指すHelical Fusionと安藤ハザマの協業は、技術実証と建設コストの現実の間に大きなギャップがある構造です。実体としては、核融合炉の材料開発やプラズマ閉じ込め技術は実験室レベルで進展しているものの、発電所としての経済合理性や運転実績は依然として不透明です。特にヘリカル型は連続運転に優れる一方、装置の大型化とコスト高が課題で、実証炉の建設スケジュールすら明確ではありません。物語としては「もう1つの太陽」という壮大なフレーミングが先行し、社会実装までの具体的なマイルストーンや、商用炉で想定する発電コストのKPIが欠落しています。期待は、政府の核融合戦略や民間資金の流入で高まっていますが、実際に電力を供給できるのは2030年代後半以降と見られ、脱炭素目標の期限である2035年には間に合いません。隠れた前提は「超高温・高密度環境の制御が技術的に解決可能」という楽観視ですが、定常運転時の材料劣化やトリチウム自己供給などの未解決問題は山積しています。

「日本にもうひとつの太陽を作る」。これを合言葉に、核融合発電プラントの社会実装を目指すHelical Fusionが、建設のプロフェッショナルである安藤ハザマとの協業を発表した。 Helical Fusionは2026年7月6日、東京都内とオンラインで記者会見を開催し、主導するヘリカル型核融合炉の実用発電計画「Helix Program(ヘリックス計画)」の公式パートナーとして、安藤・間(以下、安藤ハザマ)が新たに参画したと発表した。併せて、2030年代に稼働が予定される発電初号機「Helix KANATA」の建設に関して、両社による基本合意書を締結したことも明かされた。 Helical Fusionは、核融合発電(フュージョンエネルギー)炉の社会実装を目指している。核融合発電は、超高温かつ高密度の環境に水素同位体を閉じ込めることで生じる核融合反応で発生する大きなエネルギーを発電に活用する次世代型の発電方式となる。 具体的には三重水素や重水素を超高温かつ超高圧で加熱しプラズマ状態として双方の原子核を衝突させ合体させることで核融合反応を起こし中性子を発生させ、その中性子からブランケットを通して熱エネルギーを抽出し発電に利用する。なお、重水素と三重水素の核融合は同じ質量の石油の燃焼と比べて約1500万倍のエネルギーを創出するとされている。 同社は、核融合科学研究所(NIFS)や京都大学などの技術基盤を基にヘリカル型核融合炉の開発を進めている。同社は既に小型装置を用いてヘリカル型核融合炉の概念実証を完了している他、大型ヘリカル装置(LHD)によりプラズマ温度1億℃でプラズマ保持時間3000秒以上を達成している。同社では既に、ヘリカル型核融合炉の開発で必要なプラズマの実証や炉の設計をほぼ完了しているという。 ヘリカル型核融合炉は、ヘリカルコイル、プラズマ、ポロイダルコイルなどから成り、トカマク型と比べてプラズマ性能は劣るものの、プラズマ保持時間が長く恒久的な稼働に適している。さらに、1億℃の水素ガス(プラズマ)を閉じ込めるために複数のらせん状のヘリカルコイルを使うタイプを指す。ヘリカルコイル自身をらせんにすることで、電流が作る磁場を重畳させて磁場を捻(ひね)る。このように、磁場の籠でプラズマを閉じ込める方法を「磁場閉じ込め方式」と呼ぶ。 同社が推進するヘリックス計画では、「日本にもうひとつ太陽をつくろう。」を合言葉に掲げ、2030年代の前半にヘリカル型核融合の最終実験装置「Helix HARUKA」を完成させ実証を完了することや、2030年代の後半に50~100MWを発電するヘリカル型核融合の初号機「Helix KANATA」の試運転と実用発電を行うことを計画している。 Helical Fusion 代表取締役 CEOの田口昂哉氏は「Helix HARUKAが完成したら、Helix KANATAを建設する前に、各要素技術の検証が行える。Helix HARUKAの建設は、数百億円で行えるプロジェクトだ。さまざまな要素技術を1つのシステムで統合実証できるHelix HARUKAのような装置は、実は世界にもほとんどない。というのも、今までブランケットと呼ばれるパーツを実装した核融合発電炉の実証装置は、世界にまだないからだ」と語った。 現在、Helix HARUKAは、コイル製作マシン(巻線機)を用いて、Helical Fusion独自の「曲げやすい高温超伝導導体」をらせん状に巻いて、高温超伝導コイルにする作業を進めている段階だ。 また、日本政府が2026年6月24日に公表した「戦略17分野」には、フュージョンエネルギーも盛り込まれており、2040年度までに3兆1000億円の官民投資を見込んでいる。 田口氏は「このようにフュージョンエネルギーが重要な分野であると政府は示している。足元で展開されている『フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金』は、2030年代に発電実証を実施した後、商業化に向けた発電実証を行い、社会実装を行う民間企業を対象としている。何が大事かというと、要素技術や部品ではなく、核融合発電所を建設することだ」とコメントした。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ヒット商品を生む原動力は“遊び心”にあり!? ニチレイのサイバー攻撃は人ごとではない 問われるサプライチェーン全体の備え 半導体材料メーカーに求められるニーズの変化、ADEKAはどう応えた? ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境

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