企業動向

欧州委/排出量取引制度で改正案/無償枠、2038年まで延長/脱炭素化ペース緩和、欧州鉄鋼業で波紋も - nikkinonline.com

nikkinonline.com 2026-07-24
企業のGX対応事例として、現場で何が求められるかを知る手がかりになります。

専門家の視点

EU排出量取引制度(EU ETS)の無償排出枠を2038年まで延長する改正案は、脱炭素化のペース緩和を意図したものです。実体として、欧州鉄鋼業界はグリーン水素やCCUSといった既存技術のコストが高く、国際競争力を維持しながらの急な移行が困難な状況にあります。一方、物語では「緩和」とされていますが、これはルール変更による時間稼ぎに過ぎず、EUの気候目標である2030年55%削減や2050年カーボンニュートラルとの整合性が問われます。無償枠延長によって排出権価格の上昇圧力が緩和されるため、投資家の期待は短期的な収益改善に向かう一方、長期的な脱炭素投資のインセンティブが弱まるリスクがあります。ここでの中心的なズレは「物語先走り」です。EUの気候目標という壮大なビジョンに対し、産業界の実体が追いつかず、制度改正で調整しているに過ぎません。構造的な論点は、この無償枠延長が逆に欧州鉄鋼業界の技術革新を遅らせ、アジア勢など競合に対する競争力の根本的な強化にならない点です。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る