人材・キャリア

九州大学が文部科学省「産学連携リ・スキリング・エコシステム構築事業」に採択

2026-07-24
九州大学が水素エキスパートや洋上風力エンジニア育成を目的とした産学連携リ・スキリング事業に採択された

専門家の視点

このニュースの構造は、国策で突き動かされる「半導体」「水素」「洋上風力」の三領域において、大学がリ・スキリングという「物語」を掲げながら、肝心の実体が「誰がどの職種を何名育成するのか」という実行レイヤーで曖昧なまま止まっている点にあります。 「物語先走りの構造」です。九州大学は優れた研究・教育インフラを持ち、九大OIPという外部法人という実行手段も整えています。しかし記事からは、半導体プログラムが部長クラス10回講座、水素プログラムがオンデマンド+実験、洋上風力が初級プログラムと、それぞれの対象者層と育成目標がばらばらで、全体として「産業界が求める具体的な人材不足数」や「修了後の配置先」といった実体が欠落しています。特に、半導体分野で経営人材と謳いながら、肝心の「技術と経営の橋渡し人材」がどのようなキャリアパスを得るのかが示されていません。 隠れた前提は「講座を提供すれば人材は育つ」という発想です。真の課題は、講座修了者が企業内で新たなポストを得て、実際にGX投資判断に関与できるかという「制度と雇用市場との接続」です。

2026年6月12日、国立大学法人九州大学は、文部科学省の令和7年度補正予算「産学連携リ・スキリング・エコシステム構築事業」メニュー②「産業成長」において、「九州大学版イノベーションエコシステム形成に向けたリ・スキリング教育事業の展開」の採択を受けました。 本事業は、大学等が地域や産業界と連携し、人材育成ニーズを踏まえたリ・スキリングプログラムを開発・提供するとともに、産学官等が連携したリ・スキリング・エコシステムの構築を支援することを目的としています。 九州大学ではこれまで、産学連携機能を外部法人に集約した戦略事業子会社「九大OIP株式会社」と連携し、産学連携で価値創造を行う人材の育成を目的に、リ・スキリングプログラムの開発から提供を持続的に行う、エコシステムの構築に取り組んできました。 今回の採択を受けて、九州大学の総合知を活用した「半導体×経営」「水素」「洋上風力」の3領域に係る体系的な人材育成基盤を形成し、各分野の実践的スキル獲得を可能とするリ・スキリングプログラムを整備します。 「半導体を事業価値につなげる経営人材育成プログラム」の概要 九州大学ビジネス・スクール、価値創造型半導体人材育成センターおよび九大OIP株式会社は、2026年10月2日(金)より、半導体関連企業における経営人材の育成を目的とした全10回のリ・スキリング講座「半導体を事業価値につなげる経営人材育成プログラム―技術力の基盤の上に、戦略・経営・投資判断の武器を身に付ける―」を開講します。 半導体関連企業やユーザー企業が、半導体の力を市場競争力や成長力につなげていくためには、技術・設備への投資を収益へ結びつけ、再投資を行う好循環を形成することが重要です。そのためには、技術・市場・地政学・財務を横断的に捉え、意思決定を行う経営人材の育成が必要です。 この課題を解決するため、九州大学は、「半導体を事業価値につなげる経営人材育成プログラム」を提供します。 受講対象者は、半導体メーカー、ファウンドリ、組立・検査、材料・製造装置企業、半導体設計会社、半導体ユーザー企業等にて、次世代の経営人材候補となる部長クラスです。 コンテンツは、①視座転換、②構造理解、③判断訓練、④翻訳/構想の4フェーズで構成されます。受講生は、専門分野の管理者から、事業運営にコミットする経営者へと視座を引き上げ、経営判断に必要な知識・考え方・分析ツールを習得するとともに、異業種との協働を通じた新たな発想と人的ネットワークを獲得します。 「水素リ・スキリング教育プログラム」の概要 九州大学大学院工学研究院機械工学部門、サステナブル水素研究所および九大OIP株式会社は、福岡県・福岡県水素グリーン成長戦略会議と連携し、2026年10月より、水素分野におけるエンジニア人材の育成を目的に、「水素リ・スキリング教育プログラム」を開講予定です。 2024年10月の「水素社会推進法の施行」以降、水素技術の社会実装が本格化し、企業では水素に関わる人材の育成が急務となっています。 この課題に対し、九州大学は①水素研究力(1万m2強の専用インフラ、新設のサステナブル水素研究所など)、②水素教育力(水素エネルギーシステム専攻による人材輩出、のべ修士545名・博士120名)、③福岡県と共に継続実施中の「福岡県水素グリーン成長戦略会議人材育成事業」(のべ1700名以上の受講生)の経験を土台に、「水素リ・スキリング教育プログラム」を企画しています。 本プログラムでは、双方向機能付きオンデマンド教材、対面での実験・実習の場を通して、受講生が水素に関する基礎学理を理解し、要素技術への応用力等を身に付けることを目指します。 本事業により、県と九州大学との「包括連携協定」による取組が一層進展します。 「洋上風力発電人材育成に係るリ・スキリングプログラム」の概要 国内の洋上風力発電案件形成が進んでいく中で、「洋上風力産業人材の育成」は大きな課題です。特に、洋上風力発電事業における調査・設計、製造、組立・設置、運用・メンテナンス、撤去等の全ての分野で人材は大きく不足しており、優秀な洋上風力産業人材を育成する基盤の早急な整備が望まれています。当該人材に求められる知識・能力は、表面的・現場的なものだけでは不十分で、特に日本特有の風況・海象ならびに社会状況に対応するために、学問体系に基づく高度な知識と応用力・実践力が求められています。 上記状況において、九州大学洋上風力研究教育センター(RECOW)では、2022年度より洋上風力発電の主にエンジニアリング等分野のリ・スキリングプログラムの整備を進めてきています。2025年度からは、上記整備のうち、洋上風力発電産業で働く新卒者・中途採用者・社内異動者など幅広い層を対象にした初級プログラム

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