制度・政策

水素品質の国際標準化に向けた研究開発を開始 ~NEDO委託事業に採択~ | プレスリリース(2026年) | JERA

jera.co.jp 2026-07-24
JERAなど5社が、大規模なCO2フリー水素サプライチェーン構築に向け、水素品質の国際標準化に資する技術的知見の取得を目的とした研究開発をNEDOの委託事業として開始する。

専門家の視点

この構造の核心は、実体が先行している点です。2023年からの研究で規格案は既に策定済みであり、今回の委託事業はその規格案を国際標準化へ橋渡しするための技術的裏付けを取得するフェーズです。つまり、「物語(水素社会の実現)」と「実体(規格案の存在)」の間には大きなズレはなく、むしろ着実に実行レイヤーが積み上がっています。 しかし、ここには「期待先行」のリスクが潜んでいます。国際標準化は技術的な優位性だけで決まるわけではなく、各国の利害や既存インフラとの整合性、標準化にかかる時間軸など、制度・手続きの非対称性が大きく影響します。送気試験や燃焼試験で得たデータを積み上げても、ISO等の国際規格として承認されるには数年から十数年の時間を要するのが一般的です。 隠れた前提は「技術的裏付けさえ十分なら国際標準は獲得できる」という楽観視です。実際には、水素を巡る国際標準は欧州や豪州などが先行しており、技術データと制度戦略の両輪が不可欠です。この取り組みは実体がしっかりしているがゆえに、物語(国際標準化の達成時期)と現実の時間軸の乖離が最も注意すべき観測点です。

株式会社JERA(以下、「当社」)、一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会(以下、「JH2A」)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」)、一般財団法人カーボンニュートラル燃料技術センター(以下、「JPEC」)、ENEOS株式会社(以下、「ENEOS」)は、大規模なCO2フリー水素サプライチェーン構築に向け、国際標準化に資する水素品質に関する技術的知見の取得を目的とした研究開発(以下、「本研究開発」)を実施いたします。 本研究開発は、このたび、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)が実施する「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模水素サプライチェーンの構築に係る技術開発」の研究開発テーマとして採択されました。 現在、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、発電、製鉄、熱利用、メタネーション等の幅広い分野で水素の利用検討が進められています。一方で、水素を大量に利用するためには、安全性や設備への影響などを踏まえた適切な品質規格の整備が求められます。 2023~2025年度に当社、ENEOSおよびJPECが実施した研究開発※1では、発電や熱利用などの工業用途に適した水素品質の規格案を策定しました。本研究開発では、その規格案を国際標準化につなげるため、規格項目や閾値の根拠となる技術的な裏付けを取得します。 将来の大規模な水素利用に向けて、用途に応じた合理的な水素品質規格の確立を目指す本研究開発は、水素サプライチェーン全体のコスト低減や普及拡大にもつながることが期待されます。 本研究開発では、水素燃料に含まれる微量成分※2が設備や利用機器に与える影響を評価するため、水素品質規格案で想定する成分を含む模擬ガスを用いた試験を実施します。当社は模擬ガスの送気試験を、産総研は実エンジンを用いた燃焼試験を担当します。 また、ENEOSは、国内外の最新動向を踏まえながら、水素品質規格案に必要な規格項目や閾値の検討を行います。 これらの成果をもとに、JPECが技術的裏付けに基づく水素品質規格案を策定し、JH2Aが国際標準化に向けた戦略の構築を進めます。 当社は「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦しています。火力発電については、水素やアンモニアなどクリーンな燃料の導入を進め、発電時にCO2を排出しないゼロエミッション火力を追求しています。今後も、主体的に脱炭素技術の開発に取り組むとともに、経済合理性を確保すべく努力を重ねていくことで、エネルギーの脱炭素化に貢献してまいります。 <水素品質の国際標準化に向けた研究開発 概要> 水素品質の国際標準化に資する技術的裏付けに関する研究開発 1. 水素品質規格案の模擬ガス等を用いた実エンジン試験 2. 水素品質規格案に基づく模擬ガス送気試験 3. 新たな視点と国際標準化に向けた水素品質の情報収集と規格項目や閾値の検討 4. 技術的裏付けに基づく水素品質規格案の策定 5. 国際標準化に向けた戦略の策定と必要となる技術的情報の構築 JERA:模擬ガス送気試験 JH2A:国際標準化戦略の構築 産総研:実エンジン燃焼試験 JPEC:技術的裏付けに基づく水素品質規格案の策定 ENEOS:水素品質に関する情報収集、水素品質規格案に必要な規格項目・閾値の検討 ※1 水素の品質規格体系の構築に向けた研究開発を開始 ~「大規模水素サプライチェーンの構築に係る水素品質に関する研究開発」が NEDO委託事業に採択されました~ | プレスリリース(2023年) | JERA ※2 石油精製における接触改質装置由来の水素(副生水素)や、有機ハイドライドの一種であるMCH(メチルシクロヘキサン)由来の 水素、アンモニアクラッキング由来の水素には、有機化合物、硫黄化合物、アンモニアなどが微量に含まれる可能性があります。

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